マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

薬局で錠剤を粉砕する その5

前回のお話
イチイさんが外出中、てんやわんやだったオウギさんたち。
閉店後にも粉薬を調剤室にぶちまけ、大パニック。
イチイさんが外出先から戻ってくる前に、大慌てで清掃です。


「すごいクマ作ってんじゃん。忙しかったのか?」
「ええ、まあ」

勘がいいイチイさんは何かを感じ取ったのか、薬局内を見回しています。

「その割にはなんだか薬局内がきれいだな。掃除する暇があったみたいじゃん」

ぎくりとする薬剤師たち。

「いや、閉店後の店内清掃ですよ。」
「今日はずい分、熱心にやったんだな。新築みたいだぞ。んで、俺が置いていった心を癒すグッズはやけに、握りつぶれてるな。お前はきれいにしてもらえなかったのか?」

「そのグッズいいっすね。触り心地良くって、みんなで触っちゃって。はは」
「まぁいいけど、使ったら顔、ちゃんと戻してやって。可哀想だろう?」
「はい。心がけます」
イチイさんは再び店内を見回しています。

「さっきから気になってたんだけど」
「な、なんでしょう」
「…調剤室に置いてあった俺のマグカップに、砕けた薬が入っている」

「!!」

「いや、それは」
「ああ…」
慌てるチョウジさん、ロクジョウさんを遮るように、オウギさんが口を挟む。

「イ、イチイさんっそれやばいっすよ。調剤室にマグカップ置いておくなんて!保健所の監査の人たちがきたら怒られますよ。調剤室は飲食不可なんですから」
「そ、そうですよぉ」

「監査?薬の話をしてたのに、問題をすり替えられているような気がする」
「ほら、早く!調剤室からマグカップを出さないと。俺、洗っておきますよ」

「成長したよな。なんだかんだで。問題も自分たちで解決できるようになったんだろうな。まぁまだ未熟だけど」
「はい?」
「じゃあ、後でマグカップだけじゃなく、ミルも洗っておけよ」
「…はい?」

イチイさんは、疑念を抱いていたことについて、それ以上追求しないことにしたようです。

「これやる」
「なんですか?食べかけ?ポ村の…梅のど飴?」

「ありがとうございます。いただきます」
「ん?うまっ。さわやかっ」
「疲れがとれますね」
「それお前らの今月分の給料。それ渡すために、戻って来たんだぞ」

「まじですか?」
「イチイさん、じゃあこれ返却してもいいですか?」

「お前のマグカップに、入れてとっておいてやるよ。ってかお前のマグカップにも砕けた薬、入ってるけど?」
「うっ、ああ…」

「給料、いらないんだっけ?」
「いえ、お給料ありがたくいただきます。美味しいです」
「そう?じゃああと、3粒やるよ」
「5粒でお願いします」