マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

電話応対のマナー

パゴロウさんは現在、ランチ休憩中。

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食事を手早く食べ、残りの時間をお勉強に費やします。

 

今日は朝から、失敗続き。


丸太に躓いて転がった上に、掃除中クラゲさんを吹っ飛ばしてしまっているパゴロウさん。


「ホント迷惑しかかけてない…………

少しくらいは名誉挽回しなくては」


パゴロウさんは現在“電話応対”のマナーに関してのお勉強をしています。


大学で6年間お勉強しましたが、電話応対のマナーなんて学びません。

 

それでも調剤薬局でお勤めするなら、身につけなくてはいけない大事なお作法。


まだまだ薬剤師の卵であるパゴロウさんは、自分が率先して電話をとらねばと気合いが入っているのです。

 

「でも患者さんや、お医者様とお話しするのは緊張しちゃうな…
くまじろおじさんが、相手ならまだ良いんだけど…」

 

そうだ。
ちゃんとメモとペンを準備してから、電話をとらなくちゃ。

 

そしてお店の名前を言って、自分の名前もキチンと言う。

 

責任を持って承らなくちゃ!

イメトレもしておこう!


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パゴロウさんは安心するまで、イメージトレーニング。

 

今こそ“5秒前に電話が鳴ることを察知出来る能力”を発揮するんだ!

(ボクの特殊能力!たまに同じ能力を持つ人に出会いますが…)



大丈夫!
一番に電話をとるっ。
深呼吸してから、慌てずにとる!


僕にだって電話くらいはとれるんだ。

っていうかもはや、落ち着かないから早く鳴らないかな…電話。

  

新人薬剤師として成長したい…

という思いだけじゃなく、今はマメチュー先生と、クラゲさんに見直して欲しい。

その思いも強いのです。

 

そしてそんな思いが強ければ、強いほど空回りしてしまうのがパゴロウさんといういう人なのです。


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どうしてなのでしょう?


失敗しないように、あんなに繰り返しイメトレしたのに!


思い返してみれば今までイメージトレーニングが、成功したことはありませんでした。

 

いつも自分の心臓と共に、イメージしていたものがどこかに飛んでいってしまう。


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えっと、え~?

何を言うんだっけ…

 

名前と~
薬局名と~、あと~…


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運の悪いことに(?)電話の相手はまゆさんでした。


(はふはふ?ひょっとしてこの間、マメチュー先生が言っていた新人の…)


パゴロウさんはマメチュー先生に、メモとペンを渡して貰い、落ち着きを取り戻しました。

 

「失礼いたしました。
マメクスリカフェ、パゴロウがお受けします」

 

「ワタクシまゆと申します。
マメチュー先生はいらっしゃいますか?」

 

「お待ちください」

まゆは必要な生薬があるか、マメチュー先生に確認。

 

「もしもし、まゆさん?

そうですね、フェンネルがあればお願いしたいです」

 

「はーい」
(何だか大変そ-な奴…
おちょくんの我慢出来るかな?ワタクシ…)



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パゴロウさん反省中。

 

すぐ落ち込んでしまうのが、パゴロウさんという人です。

 

「パゴロウさん。
そんなに落ち込まなくも、人は何事もいつかはなせるものですよ。
今後も電話をとって頂けると忙しい時は、大変助かります。」

 

「マメチュー先生…」


励まされたパゴロウさん。

さっそく同じ失敗を繰り返さないように、電話を受ける時の定型文を電話の近くに貼り付ける。

 

マメチュー先生やクラゲさんの為にも、甘えてはいられません。

そしてペンとメモは、いつも電話の側に置いておく。

今度こそ準備万端です。 


おかげで次の電話からは、メモ・ペンを吹っ飛ばすことも無く、しっかり定型文を見ながら、慌てずに電話応対が出来たパゴロウさんでした。

井の中の蛙、大海を知らず

我が家は、あまり外食をしない家族でした。


 子供の頃は、隣の祖母宅でみんなでお夕飯。


その為、母の手料理以外はほとんど知らずに育ちました。


母の手料理以外と言えば、せいぜい給食くらいです。

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なので初めてイタリアンのお店でパスタを食べたとき。


“ミートスパゲッティって美味しいんだ…
スパゲッティって美味しくない食べ物ではないんだ!”

 

と驚きを覚えつつ、そんな風に思ったものでした。


当時は母が作るものだけが、スパゲッティだと思っていたので。
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大学の頃から家を出ていたポあねが、実家に帰って来るたびに

 

「お夕飯作って-!」

と無邪気におねだりしていたポいも。

ポあねの作る餃子やお鍋は美味しいのです。

だから食べたいのです。

 

でもそれは、母の気持ちを考えなさ過ぎる言動だったようです。

 

「悪かったわねっ!料理が下手くそで!!」


完全に母を怒らせました。

普段は「夕飯作るの面倒くさいわぁ~」
とか言ってるんですがね…

やはりそれとこれとは別なのでしょう。


母の料理はオリジナリティが、突出しちゃってます。

 

オリジナルミートスパゲッティ

オリジナル餃子

オリジナルから揚げ

オリジナル牡蠣鍋
(これはもう匂いからして凄い)

 

しかしコロッケだけは唯一、お店のものより美味しいです。

祖母の味を受け継いだコロッケ。

ポテトコロッケと、タマゴコロッケです。
(タマゴサンドのように潰したタマゴが入っています)

 

美味しいんですが、コロッケで白米を食べられないタイプなので、必ずふりかけをかけて食べています。


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味オンチの人と、味覚が個性的な人の違いってなんでしょう…

 

好みは育った環境でも違ってきます。

 

ヨーグルトをご飯にかける

メープルシロップをベーコンに…

 

海外では当たり前の食べ方も、食べ慣れてない場合は、躊躇してしまう組み合わせ。

 

だからと言って
「味オンチ」
なんて言ったらきっと失礼になるでしょう。


昆虫食だって子どものころから当たり前だったら、きっと躊躇しないで食べられるのでしょうね。


出汁が嫌いな母だって料理が苦手なのでは無く、好みが個性的なだけなのかもしれない。

 

元々ポいもは、好き嫌いが多めなので、好みが母と違っただけ。


好き嫌いがない人たち…
食わず嫌いはしないのでしょうか?

 

何でも美味しく食べられる人は、ホントに羨ましい。


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好き嫌いがない人は、どんな環境になろうとも強く生きていけそうです。

 

きっとアナタたちみたいな人が最初にナマコとか、ウニとかを食べてみようと思ったのでしょうね。


食にストレスが無いのは、幸せだろうなぁ。


ただそんな人達でも、年齢を重ねると、味覚に問題が出て来ることもあるので気を付けて下さいね。

 

味覚低下=何でも美味しい
では無いんですよね。

味覚の低下は、なかなか自分では気付きにくいものです。

 

「美味しくなくなった」

「味覚が変わった」

など本人・ご家族が気付いた場合は、病気が潜んでいる場合もあるので、お医者様に相談してみて下さい。

 

母は味オンチ

前回、目と鼻が効かなくなってしまった、悲しい両親の話しをしました。

 

今回は、舌が効かなくなってしまった母の悲しい話です。

美味しそうにお餅を見つめながら、頬張る母。

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母は、シソとごまの違いが分からない様子。

味に関しても、見た目に関しても。


シソが餅に細かく刻まれて入ってたので、見た目は少しごまに似ていました。

 

間違えても仕方ないのです。

ヨモギ餅のように餅の部分を緑色にしてくれていたら、うちの母だって


“ごまではない”


それぐらいは分かったかもしれない…

 

でも多少毒が混入されている餅を食べても、気付かずに美味しく食べているかもしれない…


そういえば、賞味期限がとっくに切れているヤクルトを飲んだ結果、食中毒になり一週間ほど苦しんでいた事があったかもしれない。

 

そんな母が作るほうれん草の炒め物。


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採れたてのほうれん草をそのままフライパンに、放り込んだみたいな味がします。

 

「何よ、食べないの」

 

「だってこのほうれん草、土の味がする」

 

「えぇ?しないわよぉ?」


母は見えていないので、土をしっかり落とせていないことにも気付かないし、味オンチなので土の味も分からない。


そしてさらにそんな母が、まな板で柿を切って出してくれました。


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「何よぉ、食べないの?」

 

「うん」

 

魚を切った後、まな板をしっかり洗えていないのか、柿に生魚の味がしっかりうつってしまっていました。

 

母の代わりにポいもがご飯を作ることもあるのですが、基本気に入ってもらえません。

味の好みが違うようです。


何故なのか…………

母は、出汁の味が嫌い。

 

なので出汁を料理に入れてくれません。

カボチャの煮物も、いつも醤油でびちゃびちゃになったものが食卓に出てくる。

 

子供の頃  
“失敗ばっかりしてんなぁ”
と思っていたのですが、どうやらわざと、醤油びちゃびちゃにしていたようです。

なんと、その味が好きなんだということです。

 

さらに
“また失敗?!”
と思っていたマル焦げのハムも成功なんだそうです。


実家では冬になるとおでんがよく、食卓にのぼります。

もちろんNO出汁!

 

でも美味しくなると聞いたポいもは、おでんに昆布茶を入れた事がありました。

 

母、怒りました。

味オンチのクセに昆布茶の事は気付く母。


“お父やんも美味しいって言ってたのにな”

それでもポいもめげずに……


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やっぱり昆布茶混入バレました。

 

なんなのでしょう。
急に舌、敏感…

 

味オンチなの?
それとも
単なる好みの違い?

 

聞こうと思わなかったので、聞いていませんが
“土味のほうれん草”と
“生魚味の柿”は、
母の好みの味だったのかもしれません。

父母の身体機能

まだポあねが北の国で暮らしていた時代の、今から数年前のお話。

 

両親とポいもの三人で、旅行に行った事がありました。

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植物が好きな3人は、林の中を散策。

時期は春先。

辺りに甘い匂いが漂います。

 


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「えー!うそぉ?!
凄い匂いしてるじゃん」

 

確実に甘い花の香りがしているというのに、何の匂いもしないと言い張る両親。

明らかにポいもの鼻スキルを疑っている。

 

「むむ…」

ポいもは自分の鼻がしっかり機能している事を、証明するため匂いの元がどこにあるのかを探し始めました。


「クンカクンカ…クン…」

「!!!」


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どうだっ!

「ねぇ、あったよ!
この花。甘い香りがする。
ホラホラ!
早く近くで嗅いでごらんよ」

 

「何よぉ、このお花?」

 

クンクンクン…

ポいもは、自分の鼻スキルを証明出来てご満悦。

のはずが…………


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お前たちの鼻…
どうしちゃったの?

 

匂いの元である花、そのものを嗅いでも匂わない…ですって?!

まさかっ?!

何故だ?老いがそうさせるのか?

 

老いるとモスキート音が、聞こえなくなるのと一緒か?

そしてポいもの鼻の機能は、証明出来ないのか?

 

「この花。
沈丁花みたいな甘い香りがするのにさぁっ」

 

ブツブツ言うポいもに父が
「沈丁花の匂いがするのか。
この花はミツマタと言って、沈丁花のお友だちなんだ。

枝が3つに分かれているだろう?

だからミツマタと言うんだよ。
沈丁花の仲間だから同じような匂いが、するのかもしれないな」

 

「あら、そうなの?」

 

父のその一言で、何となくポいもの鼻の機能が、証明されたような気になりました。

 

「その花ミツマタって言うんだ。お父やんは、良く知ってんね」

 

何だか父はその言葉に気をよくしたのか、聞いてもいないのに植物マメ知識を語りだす。

何やら草を指差し“これ食べられる”とか言いだしてます。

父の知識をひけらかしたい病は、完全ポいも似です。


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食べ物の話しも良いけど、君たちの鼻スキルの衰えがさ…

己自身で、気にならんのかね?

もう花を愛でる位しか楽しみも無いだろうによ…

目でしか楽しめないなんて。。。

 

ってかもう目もダメだったよね、君たち。

特に我が母。

そう、お前が作るみそ汁っ!


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一面、虫!

虫しか見えない。

この食べ物は何かね?


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逆ぎれ?されました。 

 

「だって虫…………」

これは虫汁…とでも言うのでしょうか。

 

それを母は、美味しそうに食べていました。

確かに体に害は無いとは思います。

ポいものわがままです。

 

いずれ全人類が、昆虫を食べるようになるとは思います。

ならざるを得ないと思います。

食糧難ですからね。

 

でもまだ…………

今じゃないんだ!

まだ今は無理なんだ!
無理だよ、母ちゃん。

猫さん、舌をしまい忘れる

ポにゃちゃんが、大人の猫さんになってから出会ったポいも。

 

出会った当初は、得体のしれないポいもを嫌ったポにゃちゃんに、命を狙われる日々。

 

「ポあねと血縁関係があることが、分からんもんかね…」

 

それから数年たった今は、命こそ狙われなくなりましたが、未だポにゃちゃんから警戒はされているようです。

何だかいつも睨まれ、見張られている様子。

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ポあねと平等に扱えとは言いません。

ですが、そんなにちょこちょこ部屋の中の様子を、窺いに来なくても良いのでは、と思うんですが…


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別に何もしてません。

する事無いですから…

 

とは言えしばらくポにゃちゃんが、姿を見せなくなると気になってしまう。

ポにゃちゃんの、お顔を見たくなる。


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「あっ」

「あらら?」


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ベロちょぴ。

よく見ると、寝ながら舌出しちゃってます。

 

何なの、それ?

可愛いじゃないか、とっても。

 

猫さんは、たまに舌をしまい忘れてしまいます。

キレイ好きな猫さんたちにとって、ブラシ代わりの舌は大切なもの。

なのに何故しまい忘れてしまうのでしょう。

 

“猫は家の中でリラックスしている時に、筋肉が弛緩するため、舌が出てしまいます”

(リラックス?そうなの?!)

 


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「舌を出しっぱなしにしていると、乾いちゃうよ~」

 

ポいもは、何だか嬉しくなってポにゃちゃんに近寄っちゃう。

近くで覗きこんじゃう。

 

舌を出す癖のある人間は、イラッとするのに猫さんは何故可愛いのでしょう。

ずるい連中です。

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ずっと見ていると可愛いさのあまり、我慢出来ずに舌を触ってしまう。


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それでも全然起きないポにゃちゃん。

爆睡です。

なぜでしょう。

なぜならそれは、リラックスして眠っているからです。

 

そうですね、ポにゃちゃん。

 

お荷物になるのはイヤです

薬剤師として、知識だけあってもダメだということは分かっています。

 

ですが自信が無いボク、パゴロウは暇さえあれば勉強したくなる。

 

その為今日は、通勤しながら本を読んでお勉強。

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“駄目!ながら歩き!”

 

余所見しながら歩いていたパゴロウさんは、薬局が建つ丘の途中にある丸太につまづいて、コロンとひっくり返ってしまいました。

 

「ああ、もうっ。朝から恥ずかしいっ」

 

「パゴロウさん?」

 

「マメチュー先生!?
おっおはようございます」


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転んで草まみれになってしまった、パゴロウさんの草をマメチュー先生は、優しく払ってくれました。

 

「ありがとうございます!すいません!ホントすいません!!」

 

「パゴロウさん、そんなに気にしないで下さい。
さぁいきましょう!立てますか?」 

 

(転んで草まみれになる新人…ホント、ボクって仕事の出来ない人の典型みたい。

せめて、足手まといにはならないようにしたいのに)


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薬局内のお掃除中。

 

張り切り過ぎたパゴロウさんは、勢い余ってホウキでクラゲさんを吹き飛ばしてしまいました。

 

「クラゲさん、ごめんなさい。本当にごめんなさい」

 

謝りながらパゴロウさんは学生時代に研修先で、出会ったベテラン女薬剤師の事を呟いていた、モンスターペイシェントさんを思い出す。


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「簡単に辞めさせる事はできないし。
同僚にとってもそれこそ、患者にとっても迷惑だし。
給料だけ貰いにくる役立たずの邪魔人間」

 

“ギクッ”

(ボクのこと?邪魔な存在。迷惑な存在)

-熱ガ出ソウナ予感-


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邪魔者扱い。

 

休日になると出現。
家の中でゴロゴロしている昭和オヤジ。


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(パゴロウさんの偏見)

 

“トゥルルルル、トゥルルルル”

ショポンと落ち込んでいたパゴロウさんの耳に、薬局に電話がかかってきた音が聞こえる。

(電話っ)

 

パゴロウさんは慌てて受話器をとる。

(新人のボクに出来ることっ) 

 

そう、あのベテラン女薬剤師は電話を取ることすらしませんでした。

 

のちに聞いた話です。

あのベテラン女薬剤師はその後、患者さんに暴言を吐いた事が問題となり、上司に注意されたそうです。

 

本人には暴言を吐いた自覚は無かったようですが、さすがに居づらくなったのか、介護を理由に辞めていったとのこと。

 

残念ながら、こういうお話は珍しく無いようです。


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暴言を吐かれた患者さんって、モンスターペイシェントさんじゃないよね…


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パゴロウさんはその時、電話を受けていた事を思い出す。

 

「はい、パゴロウです」

 

「?」

 

「えっと、マメクスリカフェです」

 

「あら、この間の男の子ね」

 

電話をかけてきたのは、患者さんのキノコさんでした。

 

「マメチュー先生に代わって頂ける?この間のお薬の相談がしたくて」

 

「はい、お待ちください」

 

(ボクは相変わらず昭和オヤジ…)

じつは電話が鳴る5秒前に、気付く事が出来るパゴロウさん。


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でも今の所ボクはその能力と同じ位、役に立てていません…

(やだなぁ)

 

また熱が出てきてしまいそう。

薬学生の研修

パゴロウさんは薬学生時代研修の為、病院や調剤薬局に研修に行っていました。

 

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当時は言われるがまま、されるがまま。

 

5ヶ月も実習期間があったのに、日々何が何だか分からずに、いつの間にか終了していました。

 

成績はいい方だと思っていたのに。

 

恥かかないよう勉強し、あわよくば「こんなに出来る学生は初めてだよ。今すぐ即戦力として働いて欲しい位だ」なんて言われてしまうかも、と妄想までしてしまっていたのに………

 

ですが学校で学んだ通りには全くいきません。

 


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どうやら机の上だけの勉強で、分かった気になっていただけのようでした。

 

どうして誰も学んだ通りに行く方法を、教えといてくれないのでしょう?

 

教科書に載っている例文以外の、イレギュラーな出来事に対する対応がまったく出来ない………


ある日ー。

ボクが大好きな笹を、自分で育てようと思い立ちました。

 

良い笹を育てるため、一生懸命本を読み込んでからの実践。

 

“美味しい笹の育て方”

失敗のないよう、しっかり本を読んだのはずなのに病気になってしまった笹。

 

何で?

この病気何?

直射日光には当てていないはずなのに、葉っぱが焼けているみたい。

 

根っこだって乾燥させていないし、ジメジメしたところに植えているのに。

だから何で?


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研修先の調剤薬局。

 

そこにはどう見ても、ベテランの女薬剤師がいました。

薬局長よりもこの薬局に、長くいるそうです。


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そこは患者さんの多い薬局で、皆さん大変そうでした。

 

なのにそのベテラン女薬剤師は、薬局の奥に引っ込んだまま、何もせず出て来ることもありません。


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教える立場なのでは、ないのでしょうか。

 

何を言われても、聞こえない振りをしているみたい。

 

そして何故か、そのベテラン女薬剤師に声をかけている患者さん。

何故??


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「アナタ耳が腐っているのですか?それとも聞こえない振り?」

 

パゴロウさんは知りませんが、声をかけている彼は、調剤薬局を経営する家の息子で薬剤師のイチイさん。

 

他の薬局を回っては、優秀な薬剤師をスカウトしています。

その一方で、駄目薬剤師の存在を許すことが出来ないようです。


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患者さんに直接呼ばれていると言うのに、身動き一つしなベテラン女薬剤師。

(凄い精神力です)

 

たまたまその間にいた、パゴロウさんの方があたふたしてしまいます。

 

「あ、あの~すいません。患者さんが…」

(っていうかあの患者さん怖い。あんな人もいるの?)


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きっとこのベテラン女薬剤師は、薬剤師免許をとって以降、全く勉強していないのかもしれません。

 

どんどん進化していく医療。

医師・看護師同様、常に学び続けなければいけない職業。

 

もうあのベテラン女薬剤師は、何も分からない素人同然なのかもしれない。

何の為に薬剤師になったのでしょう。

その癖、プライドは高く後輩薬剤師や、患者さんに対して「分からない」と、素直に言うことが出来ない。

この調剤薬局の、ただのお荷物。

だけど、おそらくは…

こういう人は、珍しく無いのかも知れない…

そんな風に思いました。

そして
“あの人のようにならないようにしなくては”
そんな風にも思いました。

“患者さんの役に立ちたいから!”

でも今は何も出来ずに、頭真っ白で立ちすくんでいるだけ。

ダメだぁ。

深呼吸。

ダメ…


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「おーい」

気が付くとさっきのこわい患者さんに、声をかけられていました。

 

心配そうにパゴロウさんを、見つめています。

「顔青いよ?君、もしかして学生さん?」


 「えっと、は、はいっ」


「ほら、学生!」

 

冷や汗をかいているパゴロウさんに、ハンカチを渡してくれる患者さん。

「え?あ?」
 
「未使用」  

戸惑っていると

「今日はもう帰るよ」
と、去っていきました。

パゴロウさんは、上手くお礼も言えず呆然。

 

鏡を見ると本当に、顔色が悪く冷や汗をかいている自分がいました。

 

(分かりやすく戸惑っちゃったんだ…患者さんに気付かれるくらい)

ダメダメだ。

こんなんじゃ。

 

患者さんの様子・表情の変化に気付かなければいけないのは、薬剤師である(まだ学生だけど)ボクの方なのに。

 

妄想通りの薬剤師になれなかった…

ではなく、妄想通りの薬剤師にならなくては。

そう決意したあの日の事。

今でも鮮明に思い出します。