前回のお話
患者さんから錠剤を粉薬にするよう頼まれたオウギさんたち。
さらに他の処方箋には、医師から間違った指示が記載されていました。
「たまにですけど、お医者さんによっては患者さんに希望されたことを、そのまま処方箋に書いてしまう人、いますよねー」
医師は病気についてはもちろん専門家なので詳しいですが、薬剤についてはあまり知識がない方も中にはいるようです。
「俺が疑義照会すんの?川原先生に?」
「早く錠剤潰さないと。患者さんお待ちですから。監査は新人にはできませんもの」
「俺と大してキャリア変わらないじゃんか。あ、ロクジョウさん」
「えっは、はいいぃ」
「じゃ、みんな手を出して!」
「じゃーんけーんっ」
じゃんけんの結果。
「ごめん。ロクジョウさん、ちょっとごたついたから粉砕早くね。ついでに分包機で9包に分包してもらえる?早く、丁寧に、正確にね!」
「はいぃ!」
「オウギさん、川原先生、確認OKです。粉砕の指示はやっぱり無しってことで。ついでにめっちゃイライラされましたー」
「そうか、お疲れっ。あとでいい子いい子してやるからなっ」
「あ、大丈夫です」
「オウギさん、出来ました。監査お願いします」
「早かったね。ええと…うん?」
正)9包 誤)12包
「あ」
「ごごごごごご、ごめんなさい。間違えました」
「いや、俺こそごめん。急かしちゃったんだよね」
「やり直しますっ」
「ロクジョウさん、ちょっと待って、深呼吸」
「えっはいっ!はふー、はふぅー」
「焦っている時ほどミスは起こしがちになる。だからミスって繰り返したりしちゃうんだよ。とにかく落ち着いて」
「そうだ、ロクジョウさんっ」
じー
プッ
「ちょっと面白いかも…」
「はー。笑ったら落ち着きました。すいません。ありがとうです。もう大丈夫です」
続きます