マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

薬局で錠剤を粉砕する その4

前回のお話
イチイさんが外出中、てんやわんやだったオウギさんたち。
ようやく閉店時間が訪れました。


「やっと仕事のピーク過ぎましたね」
「焦ったぁ。そういえば、イチイさんまだ来てないじゃん」
「よかったですよ。さっき来てたらやばかった」

薬剤師たち皆、だいぶホッとしています。
医療従事者の立場として、ミスは許されません。
よほど肝を冷やしたのでしょう。

「イチイさんも別にキレたりはしないだろうけど、いるだけでこっちが焦るからな」
「そういえばロクジョウさん、さっき乳鉢で錠剤をすりつぶしてたよね」

「粉砕用のミルないんだっけ?」
「あったと思うんですけれど、焦っていたからか見つからなくて」
「えー。まじで?忙しい時は、ミルあった方がいいよね」

オウギさんはミルを求めて、調剤室の中を探しまわります。

「あ、あるじゃん。調剤室じゃなくて、給湯室のところに」
「だれかがコーヒー豆粉砕してたんじゃないでしょうね」
「まさか!匂いはしないけど。ちゃんと使えるか、ためしてみるか。在庫処分予定の薬ある?」
「あ!新薬ですか?」
「あれはもうちょっと期限先だって。コーヒー豆あるんだったら、イチイさんにこれでコーヒー作っとく?」
「コーヒー豆なんてないですよ」
「えー俺もコーヒー飲んで、ゆっくりしたかったんだけど」
「いいから、この薬使ってみてください」

ガガガガ

ミルはいきおいよく、錠剤を粉砕しています。

「使えそうだな」
「ですね…」
「あとは片付けしてイチイさんを待つだけ」
「いや、先帰ってもいい?」

豆はないので缶コーヒー

ミルをちゃんとカチっと音がするまで、しめていなかったオウギさん。
粉薬がすっとんで調剤室、一面が粉まみれ。

「うう…お…」
「や、やばっ」

「そうだ、掃除っ早くっ」
「調剤室を粉まみれにしたなんてバレたら…」
「イチイさんに殺されかねない」

続きます