マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その2

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前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
洋画や洋楽が好きで英会話に興味のある女子、あかりさん。彼女に後輩の愚痴を送信してきていた同僚のひかりさんから、電話がきました。

「どうしたの?」
「だって今、あかりが呪いの言葉を送ってきたじゃん!だから怖くなったんじゃん!なにあれ?」


「呪いの言葉?」

「へー、洋書なんか読もうとしてたの?ぐうたらしているようで、けっこう勉強熱心だよね」
「どんな人間にもいろんな面があるものだよ」


「英語の本はさすがにだけど、あたしもさっきまでアリアナなら聴いてた」
「いいよね。あたしはテイラー聴いてたけど」
「ゴージャス美女」

「彼女の詩を聞いているとさぁ、女子やってるなぁって思うんだよね」
「あたしたちだってまだ25歳なんだから女子やればいいじゃん。服装とかさ、もっと女子ったら?あたしがコーディネートしようか?」
「一緒に買い物に行くとかならいいけど」

「じゃあ、今度女子dayやろ。可愛い洋服買って、メイク道具買って、おしゃれヘルシー料理食べてさ。あと美容にいいサプリとかも買いたいんだよね」
「サプリも?」

「そうサプリ。サプリ以外にもきれいになる薬とかないかなぁ」
「きれいになる薬?なんか怪しいな」

「童話で、悪い女王が悪い魔女に作ってもらうやつ」

「そんなん欲しいの?そもそも今時、女子とか男子とかってあんまないよね」


女子をやるっていうよりは、一から新しい場所で色々やってみたいってのはある。せっかく勉強した英語を生かして、通訳や翻訳の仕事をしてみたいなとか。簡単じゃないのは分かってるけど、だからこそやってみたい。

その前にまずは転職して外資系の会社で働こうかな?入国審査官もちょっと面白そう。国家公務員試験に合格しないとだめだけど。英語を生かしてアナウンサーやキャビンアテンダント…はあたしには絶対無理だな。


「なに、エルトン。心の声聞こえてるの?あたしにはキャビンアテンダント無理?」
「にゃ」
「失礼な」


「え?あかり誰としゃべってんの?まさかあのねこ型ロボット?」
「ん?あーうん」


まだ電話つながってたんだったっけ。あーでもそうか。CAは無理か。確かに動画見て、アプリで遊んで、洋書読んで、音楽聞いて…すっかりインドアになったからか、ちょっぴり太ってきた。

「にゃ」
「なにまた、心の声聞かないでよ。そんで同意しないで」
「にゃ」

「ちょっと!あかりったらあたしとしゃべってんの忘れて、ねこ型ロボットとしゃべってる…もういいや、切るね。また明日っ。今度女子DAYやろうねー。」
「え?ひかり?」

ツーーー。

「切れた。やば、あたしもヒアリングしてない。人のこと全然言えないじゃん。それにしてもマジで変化してきた、この体型」


実家にいたころは、家の中で音楽聴きながら歌って踊って、はしゃいでたからなぁ。さすがに一人暮らしのマンションでは迷惑になるからやめている。

「小林柚月の人生とは大違いだと思う。あたしの人生」
「にゃ」

人っていつの時代から、人を見た目で判断するようになったんだろう。いつの時代でもどこの国でも、人は見た目である程度判断する。美醜だけじゃなく、やんちゃっぽい人に対してとか、ちょっと見すぼらしい雰囲気の人に対してとか、見た目の印象で内面を決めたりもする。

”人を見た目で判断するな”

でもそういう人に限って、美人やイケメンが好きなんだよね。

続きます