マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その7

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前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
少しおなかが出てきたことを気にしているあかりさん。そんなあかりさんの職場に学生時代の同級生、藤島恭平が中途入社でやってくる。彼には「将来、まん丸になってんだろうな」という嫌味な予言をされていた。


藤島恭平はあたしを見て面白そうに笑っている。

「まんじゅう似合うよな」
「はい?」

「お前さ、昼飯だけじゃ飽き足らず、サンドイッチまで食うつもりだったわけ?あと昆布のおにぎり。どういう組み合わせのセンス?」
「…」

「ほんっとーに…」
「…」

「丸くなったな」
はい?

あかり家

母の一言でより勉強を頑張ろうと思った。藤島恭平の一言でダイエットをやってやろうと思った。

言った方は何気ない一言のつもりかもしれないけれど、その一言に人を変える力を持っていたりする。

っていうかあいつ、覚えてたんだ。


”ほんっとーに、丸くなったな”


うるさいな。大きなお世話だよ!人が気にしていることを!ごはん恵んで貰ったんだから“ありがとう”と言え!感謝をしろ!あげるんじゃ無かったよ、全く!!もう、ぜっったい見返してやる!

くっ、何この夕飯。やっぱり、しんどいかも。


どうしてサラダ大好き女子に生まれなかったんだろうか。
これだけの食事じゃ、仕事も勉強もやる気にならない。


小林柚月は体型を保つために食事制限してんのかな。職場では手作りミニミニ弁当を食べてるけど、あんなんで本当に足りてんの?あたしは幼稚園児の時でも、あれよりは食べてたと思う。



「気にしてんの?」
「気にしてるよ、ひかりは気にしたことないの?」

「ダイエットって程のことはしてないけれど、暴飲暴食はしてないよ。甘い飲み物は控えようとか、夜遅くに食べるのはやめようとか。揚げ物を食べるのはたまににしようとか」

「ちゃんと意識してるんだ。そういうのって多少ストレスにならない?」
「ならなくはないけどね。でも太って服を買いなおしたり、体が重くなったりの方がストレスかも」
「なるほどね」

「あかり別に気にするほど太ってないじゃん」
「ううん、太ってる。女ってダイエットする友人を止めるかかるっていうけど、もしかしてそれ?」

「へんな疑いかけないでくれる?したければすればいいじゃん。ダイエット。過食症とか拒食症、栄養失調とかにならなければいいんじゃない?」
「よくないの、しんどくてダイエットやなの」

「もう切っていい?」
「だってー」

「ダイエットを邪魔してんのは、あかり自身じゃないよ」
「うう…」

他に仕事見つけて会社辞めようかな。藤島恭平に会いたくない。うちの母親のようにぐうたら暮らしていてぶくぶく太ったって思われたんだろうな。

「ねぇ、あかり。お金ある?」
「お金?多少貯金はしてるけど。一生独身かもしれないから、自分の老後は自分で守るためにね」

「25歳で寂しいこと口にしないでよ。でね、この間あたし”きれいになる薬”が欲しいみたいなこといってたじゃない?」
「魔女が処方してくれるやつ?ひょっとしてあったの?怪しい薬?大金積むやつ?」

※くろねこさん手作りのお薬は存在しません

「落ちついてよ。あれから調べてみたんだけど、肥満症治療薬ってのがあるんだって」
「肥満症治療薬?」

「でもさ、基本的には肥満症とか糖尿病の人しか使用できないみたいで。要するに病院で処方箋書いてもらわなきゃもらえないやつ」
「うん」

「だけどそれ以外にも、処方箋なしでドラッグストアで買える薬があるらしいの」
「ドラッグストアでそんなの売ってんの?」

「最近発売されたらしいよ。CMでもやってる」
「うそ、買う買う。高いの?」
「エステに行くよりは許容範囲内だと思うけど。安くはないかも」

「ちょっとネット見てみる。この”アライ”っていうやつ?内臓脂肪減少薬って書いてある」
「でしょ?」

「ええと、上記の条件を満たしている方、18歳以上」
「うん」

「腹囲女性90センチ以上!?」
「うん」
「…ひかり、あたし腹囲90センチ以上あるように見えてる?」

続きます