マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その11

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前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
英会話を勉強中のあかりさん。最近自分の体型が気になってきていた。それなのに学生時代の同級生、藤島恭平に「丸くなったな」と言われ、落ち込んでしまう。あかりさんの後輩、小林柚月も人の注目を集めたいため、細くきれいになろうと薬の力を借りる。

職場

「え?あ…」


「藤島さん」

藤島さんが外国の方の対応に戸惑ってる。どうしよう、あたしも対応できない。あたしが助けてあげられるとしたら人を呼んでくることくらい。このお客さま、よく見かける外資系のお得意さまだよね。えっと、どこの課が担当なんだっけ?


あ、佐藤さん。

担当の人、誰か知ってるかな。

え?


薬局


「でもさ、まゆちゃん。メイク変えたり爪をきれいにしたのを気づいてくれるのはうれしくない?」

「そうだね、せっかく可愛くしたんだもんね。それは気づいてほしいよね」
「でしょ?でしょ?てんまちゃん」

「ほんとはあたしもちょっとだけダイエットしたいのよー。それで痩せたら気づかれたい」
「なんでUSAがダイエット?すでにガリガリじゃん。ガリガリガリクソンじゃん」


「ガリクソン(芸人さん)はぽっちゃりさんよ?ダイエット兼健康のために、ウォーキングでもしようかと思って。効果あるよね?他にどんなのが良いかな」

「えー。子どもさんや動物と遊ぶのでもけっこう消費するんだ。じゃあにゃこちゃんやトビーくんに遊んでもらおー」
「いやいや、あいつらと遊ぶのはけっこうハードだと思うよ?」

「じゃああたしも”アライ”って薬飲むー」
「全薬剤師がお前には買わせない」
「なんでよ」

「ガリクソンだから」
「ガリクソンはぽっちゃりなんだって」


「簡単に飲みたいとか言ってるけど、副作用もあるんだよ?」
「え?副作用?」

「そう。だから服用するなら在宅勤務中とか、休みの日とかでないと服用は難しいと思う。あとは便漏れパッドを付けておくとかね」


「脂溶性のビタミンが排出されるから、副作用に悩まされる場合は、サプリで補うといい」
「そうだね、ビタミンA、D、Eとか。長期間服用した場合の副作用は今はまだ分からないけど」


「…あたしは薬の服用やめたわ。とにかく必要なのは過度なダイエットより健康になること!」
「この”アライ”もダイエットの為じゃなくて肥満症の人とかが、健康的な体型になるためのものだから」

「そう!本当に肥満で健康を害している人には本当にいいよね。なかなか痩せなくてあきらめていた人も、薬を飲んで目に見えて効果が出ればモチベーションもあがるだろうし」
「副作用もちゃんと理解したうえで、それでも服用したいと思う人が、ちゃんと考えてから購入しましょう」

「そうね。そもそもあたしが買っちゃだめよね。自分でいうのもなんだけど、肥満なわけではないし」
「痩せすぎは健康にもよくない。不健康だとさ、お金もかかるよ。病院代や薬代。USAはお金、他のことに使いたいでしょ?」

「もちろんよ。お洋服や靴、旅行や食費に使いたいっ」
「知ってる?生涯医療費って2700万円かかるんだって」
「2700万円?家買えちゃうじゃない」

「そうだよ。だから少しでも医療費がかからない生活を目指しなさい」
「ほんとだわ」

「USAはさ、一日に100キロカロリーも減らすんじゃなくて、50キロカロリーくらいを目指せば?目標は低い方が取り組みやすいし」
「少なくない?」

「USAが目指す多少の体重の増減では人生変わらないでしょ?健康を手に入れたいのなら十分だよ」
「健康を手に入れて、2700万円丸々ゲット!」

「がんばれー」

あかり家宅

「おかあさん、この前あたしに太ったって言ってたじゃん!」

「だからあたしに薬買ってきてくれって?ばかね。確かにこのまま太ればあたしみたいになっちゃうけど、今のままなら十分よ。あたしくらい太ってから心配しなさい。薬買うくらいお金に余裕があるなら、あたしに買ってよね」

「え?え?」

続きます