マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その8

⚫︎本物語を最初からご覧になりたい方はこちら
⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら

前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
体型を気にし始めたあかりさん。しかしダイエットはつらいので、同僚のひかりさんに相談。「肥満症治療薬っていうのがあるんだって」「知らなかった。上記の条件を満たしている方?18歳以上、腹囲女性90センチ以上?」

「あたし、腹囲90センチ以上あるように見えてる?」
「厚着していけばいいじゃん」

「今の時期に?」
「じゃあ、腹巻」


「うん。ちゃんと”あなたが買っちゃだめですよ”って、指導してもらいな」

「なにそれー、結局楽して痩せられないってこと?」
「痩せる必要ないってことじゃない?」


内臓脂肪減少薬「アライ」
【購入条件】
18歳以上の成人
腹囲:男性85センチ以上、女子90センチ以上

普段から食事改善、運動など生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る。服用1か月前からの体重、腹囲、どう生活習慣を改善していたかの記録も必要。今まで努力しても効果が得られなかった人には、薬の助けにより、良い結果が得られる可能性がある。


「それにしても購入条件けっこう厳しい」

「やっぱり自力で努力しろってことか」
「ほんとに困っている人のための薬なんだと思う。あ、それからこの薬、副作用があるらしいよ」
「副作用?」

小林家


小林だって同じ名字の社員、他にもいるのに。

男の人って女性よりも見た目で異性を判断する人が多いって聞く。手に入りにくいものを手に入れる喜びとか、きれいな子と一緒にいると優越感を得られるとか。

どうなんだろう、ほんとにそうなのかな?

単純にきれいな子を目の前にしたら好きになるだけじゃないの?

どっちでもいいけど。

男性が外見重視って一般的に知られていること。なのに自分の外見を磨こうとしない人がいるのって、なんでなのか理解できない。

例えば佐藤さんとか。
あとはうちの母親も。

あの人、年々ぽっちゃりしてる。日本ではめちゃくちゃふくよかなおばあさんって見かけないけど、いつかストップするのかな。あたしはうちの母親みたいに、結婚したら太ってもいいなんて思わない。

むしろ太るのが怖い、年とるのが怖い。

美容代、もっと安くなればいいのに。

お金持ちの人と結婚しなくちゃ、このままじゃきれいを保てない。だけどやっぱりイケメンで若い人がいい。お金さえあれば、いいわけじゃない。

「ねぇ柚月。アライって薬買ってきたけど、ほんとにあんたが飲んじゃってもいいの?」

「柚月、本当に大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!」



これがあれば!

毎日節制しているけれど、ほんとは食べたくて仕方がない。おなかが減って一日中つらい。ダイエットを繰り返しているせいか、最近痩せにくくなっている。

だからって今以上に食事を減らすのは厳しすぎる。

さすがにガリガリになりたいとは思わないけれど、太っている自分を鏡で見るなんて想像するだけでぞっとする。

見たくないのにテレビやSNSを見ては、キラキラ女子と自分を比べてしまう。あたしはまだまだだ。

この薬があればご飯を食べても太らないかもしれない。クリニックでも肥満の治療薬みたいなのを使ってくれているみたいだったけれど、高くてしょっちゅうは通えない。

でもこれさえあれば…

内臓脂肪減少薬「アライ」
【副作用】
アライは食事由来の脂肪のうち、約25%を便として排泄。
副作用としては便漏れ、油漏れ、便または油を伴う放屁などがある。

薬局


「困ったね、まゆちゃん」
「にゃ?」

続きます