これは少し寒くなってきた、秋のポ村のお話。
眠る前につい、考え事をしてしまう人は多いのではないのでしょうか。
まゆさんも同じく布団の中で考え事をしてしまいます。
通常眠りに落ちるまでは、10分~15分かかるのだそう。
でもその眠るまでの時間って、ちょっと暇なのですよね。
まゆさんはもっぱら、明日食べるご飯のことを考えるタイプです。
横になりながらすでに眠っているにゃこさんに、独り言のように話しかけています。
「おなかいーぱい、ご飯食べてやろっと」
まゆさんはたまにポ村に生えている薬草を、マメチュー先生の薬局にお届けする仕事をしています。
彼女は漢方薬に詳しく「漢方薬・生薬認定薬剤師」の資格を保有しているのです。
※この資格を持っている人は、漢方薬局で働くのに有利になります。
自ら生薬を採取しに行く事とは、特に関係はありません。
そしてマメチュー先生の薬局では薬局製剤(薬局製造販売医薬品)をする許可を得ています。
※薬剤師が直接製造・販売できる医薬品。
薬局製剤が出来るとマメチュー先生の薬局でしか手に入れられない、オリジナルブランドの医薬品が作れるのです。
特にポ村にはいろんな薬草があるので、人気の商品となっております。
「ほんとはむかごの下にあるという、宝物・自然薯も食べたいんだけどさ。焼いたりすったりおいしいよね。」
最近まゆさんは代用品の長芋でとろろを作り、卵と混ぜてお好み焼き風にして食べることにはまっています。
レンチンして簡単に作れるところも、お気に入りのポイント。
ソースをかけても、和風の味付けにしても美味しく食べられます。
お肉やネギはお好みで入れましょう。
「んでさ、喉をぎゅーって詰まらせるくらい、一気にかっこみたいんだよね。そうすると食べてるーって感じがするんだ。分かる?にゃこ」
「ぷー、すぴー」
「自然薯なんてさすがに掘れないけどさ。だからむかごご飯を“ガー”って食べて、飲み物は流し込みやすいよう麦茶にするんだ」
「あとはぁきのこも収穫して、うん、みそ汁にしよう」
「でもキノコは山菜に比べて、毒を持っているやつが多いからなぁ。子どもの頃は毒って知らずに、見たもの全て口に入れてたけど」
身近にある毒のある植物、子供・高齢者に誤食事故が多いそうです。
「キノコはそんなに詳しくないし、初心者向けのなめこにしようかな。なめこが生えるのはナラや、ブナの倒木だっけ?”木の子”だから」
「お腹減ったなぁ。眠りはまだ訪れんのかなぁ」
ぐぅぅぅぅぅ
「なんにゃの?今の音」
まゆさんのおなかの音に、にゃこさんが目覚めてしまいました。
ぐぅぅぅぅぅ
「ご飯のことばっかり考えてたら、お腹減ってきたー」
「ごはんたべたらいいにゃにゃい」
ぐぅぅぅぅぅ
「にゃこみたいに好き勝手食べるわけにもいかないのさ」
「なんにゃよそれ」
ぐぅぅぅぅぅ
「うるさいにゃわぁ」
「ぐぅ」
「にゃむ?」
いつの間にか寝息を立てて眠っているまゆさん。
お腹の音が子守唄になっていたようです。
明日はむかごご飯に、なめこのお味噌汁。
朝が楽しみですね。
ちょっとだけ肌寒くて、過ごしやすくて、食べ物が美味しい。
秋っていいですよね。