マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

背後にいるのは誰? その2

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前回のお話
休日の夕方、ポ村には霧が立ち込めていました。
非日常の状況に、ちょっとそわそわしているまゆさんとUSAさんは、宅飲みの買い出し中。

しかしUSAさんは先程から、何かの気配を感じるという。

USAさんは声を潜めます。

「ねぇ。今度は絶対!何かいる。嫌な気配を感じる」
「怖い事いわないでよ。あれじゃない?飛蚊症とかじゃないの?」

「ええええ?飛蚊症!ってなんだっけ?」
「なんか、目の端に蚊みたいなものが飛んでいるような気がしない?」
「え?蚊?蚊っていうよりは、このマスコットみたいなものが…」

「何?マスコット?」

USAさんのイメージ

「あのさ。さっきポ村に来たばかりの時”霧が出ている時は注意して歩きなさい”って言われた話してたじゃん?」
「うん」

「注意するのもそうなんだけど、そもそもポ村の掟でさ、霧が出ている時は、外を出歩いちゃいけないんじゃなかったっけ」

 

「ぎゃあ!」

 

「うわ、もう、何!?」
「いや、なんかこの辺ぬかるんでたから」

 

「ああ、なんだ。ポ村は小川とか水たまりのような沼とか、水辺が多いからね」

陽が落ち始めた頃、霧が辺りに立ち込める。

夕暮れと霧を利用し、魔物が近づいてきている。

でもその存在には気づけない。
魔物は上手く霧にまぎれながら徐々に対象者に近づき、もう逃げることが出来ない距離にいる。

ターゲットにされた者は、すでに魔物が目の前に現れてからしか、気付くことが出来ないのだ。

「絶対いる!なんかいる!飛蚊症?あたし飛蚊症なの?」
「やばいっ!掟を破った時に現れるやつって言ったら!」
「えっなに?まゆちゃん」

いつものあの人

「ぎゃあああぁ」

 

「まゆさん、USAさん、足元よく見て下さい。霧の日は危険ですよ」

は…?

霧危険

ポ村の掟】
霧の日は外に出てはいけない。

※ポ村に点在する沼に気付かず、落ちてしまう危険性があるから。
「あたし、飛蚊症じゃなかったのね?」

 

飛蚊症とは?

飛蚊症とは、一般的に明るいところや白い壁などを見たときに、眼の前に虫や糸くずなどが飛んでいるようにみえる現象です。

ポあね画

 

硝子体(しょうしたい)に濁りがあると、濁りの影が網膜に映り、虫が飛んでいるように見えます。
加齢や生理的なものが原因なので、問題のない場合がほとんどです。
治療の必要はありません。
ただ、網膜剥離や硝子体出血が原因で起こる場合もあるため、浮遊物の数が増えたり、視力が低下したり、視野が欠けるようなことがあれば、すぐに眼科を受診してくださいね。



村人を守らなくてはいけない村長は、掟に厳しい。
霧の中、外を歩いている村人に対しては、いつも注意を促しています。

「村長、背後じゃなくて前にいたじゃん。油断したよ」
「おかしいなぁ、背後に何かいるように思えたんだけど」
「じゃあやっぱり、飛蚊症だったんじゃないの?」
「えぇー、そうなのかなぁ」

果たしてUSAさんは本当に飛蚊症だったのでしょうか。

それとも霧に紛れた何かだったのでしょうか…

 

「いいや、お酒飲んで忘れよー」

「覚えてて病院行ったほうがいいんじゃない?」

「やだ!だって、飛蚊症でも、飛蚊症じゃ無くてもこわいもの」

「ああ、なるほど