マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その6

⚫︎本物語を最初からご覧になりたい方はこちら

⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら

前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
少しおなかが出てきたことを気にしているあかりさん。そんなあかりさんの職場に学生時代の同級生、藤島恭平が中途入社でやってくる。

彼には昔…

という嫌味な予言をされていた。


「では、みなさんも藤島さんに挨拶を…」
「川本です。よろしくおねがいします」
「坂田です。おねがいします」

挨拶…大丈夫。あたしの名字は日本で一、二を争うほどのよくあるやつだ。

「さ、佐藤です。よろしくおねがいします」
「佐藤さん。今後ともよろしくおねがいします」
「…」

ん?

「山下です。よろしくおねがいします」「阿川です。よろしくおねがいします」


別にあたしが最後に挨拶した人ではないのに、急に返事をしてくる藤島恭平。特に意味がなくても小林柚月がこっち見てくるじゃん。余計な行動はやめてくれよ。

…そう思っているのに藤島恭平、なんかこっちを見ている気がする。今日はよく人に見られるな。かたくなに目を合わせてないようにしていたら、手元の温泉まんじゅうに気づく。

あ、これ。欲しいのかな?そっか、まんじゅう好きなのか。

「藤島さん、温泉まんじゅういかがですか?」

気づいたらつい、学生の頃のノリで話しかけていた。

「ありがとうございます。実は昼食べ損ねて…」
そうだったんだ。初日から。

「じゃあ、これもどうぞ」
「これ…」

あたしは母親とランチをする前に買ってしまい、余っていたお昼ご飯を渡す。

「そんなこともあろうかと、買っておいたんです。3時休憩に時にでもどうぞ」

やば、昔の感覚で適当なことを言ってしまった。小林柚月の熱視線。痛いくらい熱い。遠慮のない奴だ。

「ありがとうござます、あかりさん」
「え??」
「佐藤さんですよね。同じ名字の方、他にもいらっしゃるので」

確かに区別するために、あたしを下の名前で呼ぶ人もいるけど。名簿とかには大抵”佐藤(あ)”とかって記載してあるけど。あたしさっき、フルネームで自己紹介したっけ?それにもう社内の人の名前覚えてんの?

ちらっと藤島恭平を見上げると、目が面白そうに笑っているのが見えた。

終業時間

背後に誰かが立っている。

あたしはそれが誰だかわかっているけれど、気づいてないふりをする。早く片付けて早く帰るんだ。映画の続き見なくっちゃ。

「なんですか、その写真」
「…」

声を掛けられて仕方なく、今気づいたふりをして振り向く。

「ああ、小林さん。写真?これ?」

「ロボットの写真を机に飾ってるんですね。へぇ。たしか安くないですよね、そのロボット」
「まぁまぁかな」

「さすが、お金持ちですね、先輩。あたしはカツカツです」
「普段そんなにお金使わないだけだよ」

小林柚月は安っぽい服装をしている、あたしの全身を見つめていた。

「確かに、そんな感じですよね」

小林柚月は美容院代、美容代、洋服代など色々お金がかかっていそうだ。

「妹に甘いあたしの兄がたまに、援助してくれるんですけどね」

大人なのに、兄貴に金出させてるのか。マジで甘やかしてんだろうな。その兄貴とやら。

「うらやましい話だね」
「よく言われます」

もうあたしに興味のなさそうな彼女は、藤島恭平の元に向かっていた。

「藤島さん、もうお帰りですよね」

あたしとしゃべる時とは違う声色で話しかけている。確かに新入社員に残業はないはず。藤島恭平目線でいうと、小林柚月は話しやすくて気さくで可愛らしい女子社員にうつるんだろうなぁ。

「ええ、でもその前に島村課長に用事がありまして」
「そうなんですね、待ってていいですか?」
「なんでですか?」

「え?」
「え?」

「じゃ、じゃあ帰りますね。お先に失礼します」
「お疲れさまです」

あたしもササっと小林柚月の後に続いて帰ることにした。

「食欲が衰えていないようでなによりです」

・・・。

「はい?」


声に反応して振り返ると…

続きます