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※ポにゃちゃんと暮らしていた頃のお話
「ポにゃちゃんやー?」
ポにゃちゃん、行方不明。
どこで行方不明になったかというと、もちろん家の中。
ねこさんとは目を離すとすぐ、行方不明になるものなのです。
いつもポにゃちゃんがいるベッド、トイレ、お食事処を確認したのですが見当たりません。
「なぜいない…」
家にはいるだろうとは思うのですが、長い間見かけないと心配になってきます。
というかしばらく顔を見ていないと無性に会いたくなってくる。
そんなポにゃちゃん、というかねこさんが好んで行きそうなところ…
所詮、高い所か狭い所ってとこ。
でもそれこそが、ねこさんを家の中で見失ってしまう理由でもある。
我が家のおじいちゃんねこさんは、高い所には一切いきません。したがってポにゃちゃんがいるのは、おそらく狭い所。
机の下かな?テレビの後ろ?棚と棚の間とか?
「いないなぁ」
たまに声に反応することがあるので、全部の部屋を回って呼び掛けてみる。
「ポーにゃー!」
しかしポにゃちゃんからのお返事はありません。
たいへんだ。
どうしよう。。。
時折こうしてクローゼットというか押し入れの中から、黙ってこちらを見ていることがあるのですが…
確認して見たころ、今日はいなさそう。
”がつんっ”
「あいたっ、つまづいた。…あっ!」
ポにゃちゃん。
キャリーバック内にいました。
キャリバ内は毎回探しそびれてしまうのです。
ポにゃちゃんにとってキャリバは、ちょうどいい感じに狭くて居心地がいいらしい。狭い所が好きなのは、ポいもも分かります。
ポいもはねこさんと同じく狭い所が好き、というより広い場所が苦手。だから一人暮らしの今の家は、狭くて落ち着きます。実家は今の家よりは広いため、いつもどこか不安で落ち着かない場所でした。
ポにゃちゃん、狭い所いいよね。
落ち着くよね。
でもさぁ、ポにゃちゃん。
キャリバ=病院みたいなイメージ、ないの?キャリバへの嫌悪感とかは?
ねこさんってやつはそういう大事なとこ、忘れちゃうものなのかねぇ。
嫌な目に遭うと執拗に覚えてるタイプだと思ってたんだけど。
でも案外とキャリーバッグ好きねこさんって、多いみたいですよね。
「ポあね、ポにゃちゃんキャリバにいたー」
「ほんと?よかった。ちょっとラッキー」
「!!!」
残念ながら病院の雰囲気を感じたポにゃちゃんは、嫌悪の感情をしっかりと思い出してしまったようです。
「いやにゃ。先生はいやにゃっ。おねにゃんと帰んにゃ」
「ポにゃちゃん、先生困らせちゃだめだよ」
「そんなに怖がらないでポにゃちゃん。先生の所おいで。大丈夫だから」
「やにゃー」
《帰宅》
キャリーバックへのトラウマ再び。さすがのポにゃちゃんも、しばらくキャリーバッグに近付きません。
「あそこは怖ろしいところにゃわ」
そこはもう足を踏み入れてはならない、禁足地。見てはいけない、近づいてもいけない。少しでも近寄ったらあの中にとじ込められ、何者かに怖ろしい場所に連れていかれてしまう。これはねこさんたちが語る恐怖の都市伝説。
数日後。
「もうっ、ポにゃちゃんどこー?」
ポにゃさん再び行方不明。
ポにゃちゃんのベッドもおトイレも、食堂もさがした。
おしいれも…
今度こそ本当に外に出ちゃったのでしょうか?
いえ、違います。
居心地良さそうにまたもやキャリバ内で寛いでいます。
一方ポいもは…
「ポにゃちゃーんっ!!」
まだねこさん探し。
“会いたくなったのさ”
キャリバ内を探しそびれているポいも。
先程申しました通りこの人、キャリバ内を探すことを忘れています。
ねこも人間も悲しいことに、いろんなことを忘れる生き物なのですね。