マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

心臓がドキドキする話 その2

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前回のお話

心臓に違和感があるというまゆさんの伯母さん、ペリコ。

でもお医者様に診て貰った結果、問題はなかったそうです。

 

「絶対心臓おかしいと思うのよ」

絶対、おかしい

「お医者さんの誤診の可能性だってあるでしょう?」

確かに医師の誤診である可能性はないとは言い切れません。

 

「そうだろうけど…何?セカンドオピニオンでもしたいの?」

「セカンド?一応もう他の病院には行ったわ」

 

「ああ、行ったんだ。そしたらなんだって?」

「都会の大学病院に行ったのね。そしたらやっぱり何でもないって」

「へぇ、そう」

 

「近所のお医者さまなんかひどいのよ。この前なんて”何度来ても、何度調べても結果は同じ。なんの問題もない”っていうの」

「問題ないなら、いいじゃん。問題あるって言われたいわけ?」

「言われたいわけじゃないけど、絶対問題あるはずだもの!」

「ふうん」

少し思い込みが強いのでしょうか。

 

「あ、そうそう。実はね。黙ってたんだけどこの家、時々ラップ音がするんだよね」

「いやだ、ラ…?」

「あたしさ、霊感ないからよく分かんないんだけど、ひょっとしたら何かいるのかも」

あなたもよく見て、あたしいるわよ

「何よそれ。あんたよくそんなとこ住んでるわね。憑りつかれたりしたらどうするのよ」

 

ペリコ伯母さんは怯え、不安がっています。

 

”ガタン”

 

「あ、ほら」

「やだっ、なんなの?今の音。ほんとに幽霊?」

「ペリコ、見えるタイプ?」

 

”ガタッ、ゴトトン”

 

「また音っ!幽霊じゃないのよ!絶対幽霊じゃないの!」

「おお、霊能者。言い切るじゃん。なんか、見えた?」

「なにのん気なことを!引っ越した方がいいわよっ!」

ペリコ伯母さん、思い込んだら止まらないタイプでもあるようです。

 

「ペリコもわめいてないで、早く帰った方がいいと思うけどな。うん、帰った方がいい」

 

“カタ…”

遊びに行っていたにゃこさんが窓から帰ってきました。

「ね、ね、ね…」

 

「きゃー!ねこー」

 

伯母ペリコは猫が大の苦手。

幽霊よりも苦手。

……。

 

「ったく…寒いなぁ。出て行くならドア閉めてってよ」

「なんにゃよ、あいつ」

 

かつてねこさんから逃げようとパニクって、屋根に飛び乗ろうとした伯母ペリコ。

伯母さん…ねこさんは高い所、大好きなのですよ?

 

「次は心臓の状態が悪化してから相談しに来てよね」

いつまでも症状が進行しない伯母さんの心臓。

 

実はまゆさん。

ペリコ伯母さんから”心臓が変なの”という話をかれこれ、10年近くは聞き続けています。

まゆさんの母親より、10歳近く年上のペリコ伯母さん。

 

心臓が悪いと言いつつ、良く食べるし、友人ともよく遊び歩いています。

とりあえずお医者さまのいう通り、心臓に大変な事態が降りかかっているわけではなさそうですね。

 

それでも心臓に違和感があるのであれば、不安やストレスがあるのかもしれません。

友だちが多い人ではあるのですが、それでも家で一人、寂しいのかもしれない。

 

「今度、病院探しておくかな。あとペリコが好きなフランス料理でも探しておこう。ああ、でもフレンチはペリコのマナー講座がうっとうしいから、中華にするかな。思い悩む暇がない程の、激辛麻婆をこっそり頼んどこ」