「そういえば最近、ポ村にカゲが現れないねー」
「いないと心が平和だ」
まゆさんとUSAさんは、休日をポ村でのんびり過ごしていました。
ポ村住民もおのおの、のんびりほのぼのと過ごしているようです。


「村長の巡回も、ピリピリムードじゃないし」

ぼんやり見ていたらまゆさん、USAさん、巡回中の村長と目があってしまいました。

「村長ったら失礼しちゃうわよね。あたしたちのことばっかり、見張るんだもの」
二人は、まゆさん宅に避難することにしました。

いつも平和なイメージのポ村ですが、実は気味の悪い化け物が現れることがあります。
心に暗い影を落とすから”カゲ”と名付けられた存在。
悪しきものは結界に阻まれてほとんどがポ村に入り込めませんが、逆にカゲのほとんどは結界をものともせず侵入してくる。
他の町では起きないような、ちょぴっとだけ不思議なことが起きてしまう村。
例のカゲというのを見てしまうと不安にかられたり、全てのやる気が失われたりするそうです。
孤独感、消失感、そして心にマイナスな影響を与えるカゲ。
影響をひどく受けてしまうと、心のお薬が必要になってしまうことがあります。
人々の心に渦巻くの不安な思い等が、同時に見せる幻ではないかとも言われています。
でも実体があるようなので、おそらく違うのでしょう。
そんなカゲも、ご神木の近くに大切に置かれている大きな十字架をかざせば大抵倒せます。
「いっつもヤマオちゃんがカゲを十字架で倒してくれるのを見るの、スカッとして好きなんだよね」
「ポ村はこういう時ほんと、ヤマオ頼りだから」
十字架はとっても重いので女子や高齢者、小さきものが多い村ではなかなか難しい。

「あんまりポ村が平和すぎると、都会に行ったときに、ちょっとびびっちゃうことがあるのよね」
「都会?しょっちゅう買い物とかいってんじゃん」
「あたしポ村出身じゃないけど、ここって住み心地よくってさ。いつの間にかポ村の常識を当たり前に思っちゃっててね。都会は都会で好きなんだけど、今まで怖いと思っていなかった都会の部分に怯えるようになった自分もいるのよ」
「怖くなかった都会の部分?」
続きます