マメクスリカフェで調剤事務として働いているUSAさんは、夢見るように語り出しました。
「子どもの頃さ、おひなさまを見るとすっごくワクワクしたのよね。あたしもあんな風に、愛らしいお姫さまになりたかっなあ」
“小料理屋三すくみ“で働くナメ江さんが、そんなUSAさんに応えます。
「分カルワァ。素敵ヨネ」
「人形ってさ、怖くない?日本製も外国製も軒並み。全人形もれなく」
「ねぇまゆちゃん。あたしたち今、おひなさま可愛いよねって話をしてたの!」
「でも私も分かる」
「何よぉ。てんまちゃんまで」
「おひなさまは確かに可愛いし怖くない。なのに他のお人形さんたちは、ホントにごめんなさいなんだけど、怖く感じる時…ある」
「ほら、てんまも言ってんじゃん。人形ってさ、絶対こっち見てくるじゃん。人の目盗んで絶対、観察してるじゃん」
「何それ。嘘よ。絶対?絶対なの?」
「嫌ダ。怖イ話?」
不安症で怖がり屋さんのナメ江さんは、みんなの話を聞いて怯えています。
「この世を去って、どこに行っていいか分からない魂が、次々と人形に宿っているんだと思う。絶対」
「やめてよ、まゆちゃん。その“絶対“で話を締めるの」
「宿ってる…ひょっとしてトイストーリーみたいに人間が見ていない所で、お人形さんたちは遊んでたりしてるのかな?それはとっても可愛いかも」
「ハハッ、日本人形が夜な夜な?」
てんまさんの想像にまゆさんは楽しそうにしていますが、USAさんは呆れ顔。
「着物姿で?ウッディーみたいに?怖いんだか、ポップな感じなんだか、もはや分かんないわね」
「ネエ、結局怖イ話?ポップナ話?」
「ナメ江はまだ怯えてたのか。おひなさまは可愛いって話」
「…絶対?」
「絶対」
「さてナメ江、桜餅でも食うか」
「私道明寺派ー」
「あたしもー!」
「アタシモ…」
桜餅一つでキャッキャしている、ポ村女子でした。