前回のお話
ポ村産・梅のど飴を多くの人に買ってもらうため、POPづくりをすることにした薬局スタッフ。
消費者の購買意欲をそそるようなフレーズを、わちゃわちゃしながら考えているようです。
「パゴちゃんは、なんかいいの思いついた?」
「はい、ええとですね」
「なにそれ?説明書?」
「だっだめでしたか?」
「真面目が出すぎ」
「もっと単純にさ。ポ村産ののど飴おいしいよーとかは?のどの痛みもすぐ治ってぇ」
「誇大広告はだめですよ」
「今一番売れてる!ポ村住民大注目!」
「売れてないし注目されてない」
「話題独占!のど飴ランキング第一位!これぞ本物ののど飴」
「次から次へと適当なことを…」
「だって文章力ないし、長ったらしいものよりは一発で目を引くフレーズにした方がいいかなって」
「そんなこといったら、コピーライターなわけでもないじゃん。いいフレーズなんてそう思いつかないでしょ」
「とりあえずさ、のど飴としてきっちり効能があること、おいしいってことは書いといたらいいんじゃない?」
「あと男梅のイラストも描いていい?」
「いいわけない」
「全米が泣いたとかは?」
「なんで全米がうちの村の、のど飴のことで泣くんだよ。全米の人たちは全米のことで泣いてりゃいいよ。だいたいあの人たち、泣きすぎなんだよ!徳さんと拮抗してんだよ。もう説得力落ちてるよ」
「全米かぁ…そうだ!地域を限定するのって効果あるんじゃない?」
「話そんな方向に持ってく?」
「”ポ村限定”っていいじゃん」
「いいね!それ。効能もあるし、美味しいし、ポ村限定だし」
「さっそくPOPにそれを…」
「あれ?」
「え?のど飴ですか?」
「私もそれ買いに来たの。食べてみたくって。だってポ村の梅で作ったんでしょ。興味あるわ」
「きのこさんたち、よくご存じで」
「村長さんから聞いたのよ」
”村長!”
どうやら村長の営業、というか宣伝効果があったらしくPOPを作る前に、のど飴の購入者が来てくれました。
一生懸命試供品等を配ってくれていたそうです。
その後も高齢者の方たちのコミュニケーション能力のおかげというかなんというか、のど飴の購入者はどんどん増えていきました。
「ポ村の場合POPの力より、みんなの口コミによるネットワークの方が優れているみたいだね」
「わぁ、見て下さい。すごいですね!また患者さんが、のど飴をお買い求めに来ましたよ」
「結局ポ村住民はポ村のこと、愛しているからね。ポ村印の商品のファンなんだよ」
「なんだぁ。余計な気を回しすぎちゃったのね」
「じゃあPOPどうする?」
「”村長おすすめ”でいいんじゃない?」
その後、のど飴が売り切れる日が続き、ポ村産・梅のど飴の増産が決まったそうです。
村長、一安心ですね。