マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

調剤薬局のPOP その4

前回のお話
ポ村産・梅のど飴を多くの人に買ってもらうため、POPづくりをすることにした薬局スタッフ。
消費者の購買意欲をそそるようなフレーズを、わちゃわちゃしながら考えているようです。

「パゴちゃんは、なんかいいの思いついた?」
「はい、ええとですね」

「なにそれ?説明書?」
「だっだめでしたか?」

「真面目が出すぎ」
「もっと単純にさ。ポ村産ののど飴おいしいよーとかは?のどの痛みもすぐ治ってぇ」

「誇大広告はだめですよ」
「今一番売れてる!ポ村住民大注目!」
「売れてないし注目されてない」

「話題独占!のど飴ランキング第一位!これぞ本物ののど飴」
「次から次へと適当なことを…」

「だって文章力ないし、長ったらしいものよりは一発で目を引くフレーズにした方がいいかなって」

「そんなこといったら、コピーライターなわけでもないじゃん。いいフレーズなんてそう思いつかないでしょ」

「とりあえずさ、のど飴としてきっちり効能があること、おいしいってことは書いといたらいいんじゃない?」

「あと男梅のイラストも描いていい?」
「いいわけない」

「全米が泣いたとかは?」
「なんで全米がうちの村の、のど飴のことで泣くんだよ。全米の人たちは全米のことで泣いてりゃいいよ。だいたいあの人たち、泣きすぎなんだよ!徳さんと拮抗してんだよ。もう説得力落ちてるよ」

「全米かぁ…そうだ!地域を限定するのって効果あるんじゃない?」
「話そんな方向に持ってく?」

「”ポ村限定”っていいじゃん」
「いいね!それ。効能もあるし、美味しいし、ポ村限定だし」

「さっそくPOPにそれを…」



「あれ?」

雨の中来局する患者さんたち
「ポ村の梅味ののど飴あります?」
「え?のど飴ですか?」

「私もそれ買いに来たの。食べてみたくって。だってポ村の梅で作ったんでしょ。興味あるわ」

「きのこさんたち、よくご存じで」
「村長さんから聞いたのよ」

”村長!”

どうやら村長の営業、というか宣伝効果があったらしくPOPを作る前に、のど飴の購入者が来てくれました。
一生懸命試供品等を配ってくれていたそうです。

その後も高齢者の方たちのコミュニケーション能力のおかげというかなんというか、のど飴の購入者はどんどん増えていきました。


「ポ村の場合POPの力より、みんなの口コミによるネットワークの方が優れているみたいだね」

「わぁ、見て下さい。すごいですね!また患者さんが、のど飴をお買い求めに来ましたよ」

「結局ポ村住民はポ村のこと、愛しているからね。ポ村印の商品のファンなんだよ」
「なんだぁ。余計な気を回しすぎちゃったのね」

「じゃあPOPどうする?」
「”村長おすすめ”でいいんじゃない?」

その後、のど飴が売り切れる日が続き、ポ村産・梅のど飴の増産が決まったそうです。
村長、一安心ですね。