マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

どろちゃんとトウキさんと悪しきもの その1

ポ村を、そしてポ村の住民を守るのがお仕事の村長。


いつも通りにポ村の隅々をパトロール。

ポ村を愛し、ポ村を守る!

さらにポ村の密かな有名人、画家であるトウキさんのお世話もしています。
トウキさんが使用している画材を、いつでも使えるようにしているのは、実は村長なのです。
画材を新品に取り換えたりもしています。


村長がお世話をしているトウキさんは今、ポ村の御神木の下でぼんやりと涼んでいます。
村長は無口なトウキさんからは、本人の情報をうまく聞き出すことが出来ていません。
でも、彼を見ていれば分かることもあります。


”トウキさんは御神木が好きなのかも”

そう判断した村長。

絵筆を洗うときに使用するお水は汲みに行かず、トウキさん自ら汲みに行ってもらうことにしています。

御神木の清浄で美しいお水。
悪しきものを退治する時にも使用できる、聖水でもあります。

「では私はこの辺でそろそろ」

トウキさんのお仕事の邪魔をしないため、村長は静かに立ち去っていきました。



そのころ、御神木から比較的近くのふわふわした草むらの中で、気持ちよさそうに眠っているどろちゃん。

ぷーぷー

ポ村でひとり暮らすどろちゃんは、こういう何気ない日常が幸せなのです。


しかしどろちゃんの元に、どこからか嫌な匂いが漂ってきました。

おかげで眠りを邪魔されてしまう。

どうやらどろちゃんの近くで、悪しきものが土の中から生まれそうになっていたため、匂っていた模様。


悪しきものとは腐敗臭を伴った、状態の悪い土の中から生えてくる、ポ村特有の”モノ“です。

「にゃぶぶ」

それに気づいたどろちゃん。


生まれ出てくる前に、処理しなくてはと思いました。

何しろ悪しきものは土壌をさらに悪い状態にし、ポ村の自然を破壊してしまう可能性があるのです。


どろちゃんはポ村が大好き。
悪しきものに汚されたくない。
村を守ってあげたい。


御神木の元に湛える、清らかなお水を撒けば簡単に消滅する悪しきもの。
だけどねこさんであるどろちゃんには、それが分かりません。


だからどろちゃんができる精一杯で対応します。
生まれてくる前に、踏んづけたり、引っ掻いたり、噛みついたり。


それでも土の中から、悪しきものがモリモリと出てきてしまいます。
だからどろちゃん、必死で噛みつく。


「にゃぶぶぶぶっ」
「にゃぶぶぶ」
「ぶぶ!」
必死です。

続きます