前回のお話
まゆさん宅でお話し中のUSAさんとまゆさん。
最近USAさんは、ポ村の雰囲気につかり過ぎて、都会のある部分に怯えるようになったそうです。
「昔、実家に住んでいた時にさ、帰りが終電になったことがあったのね」
深夜の踏切。
終電が終わったから電車は通らないはずなのに、いつまでも踏切の遮断機はおりている。
完全に壊れているようだった。
深夜なのに、人も車もだいぶ踏切前に集まってきていた。
「うちの町って夜でもあんなに人が外にいるのねって、思ったわよ」
「そんでどうしたわけ?駅前ってことはさ、駅員さんが何とかしてくれたりしないの?」
「駅員さんは来なかったし、交番も踏切横にあるけど、誰も来なかった。多分、遮断機の辺りにそういう時に連絡する番号とか書いてあったのかもしれない」
「連絡すればいいじゃん」
「大きい踏切でずいぶん人がいたし、それにあたしは遮断機のそばに、いなかったから」
「深夜0時過ぎに踏切の警報音だけが鳴っている、異様な雰囲気だなそれ」
「みんな、行動を起こさずジッと待っているけど、どうすんだろう、とは思ったわよね。だって明日も仕事や学校があるだろうし」
「あたしは幸い、すぐ近くにある小さな踏切を使っても、帰るのに遠回りにならないから、そっちから帰ることも出来るんだけど」
「何それ、さっさとそっちから帰ればいいじゃん」
「だって、移動しようと思った直後に遮断機が直って、開くかもしれないと思ってたから」
「分かる!確かにそういうのあるよね」
「でしょ?あとね、小さい方の踏切、実はね。あたしが小学生の時に踏切事故で亡くなった方がいて。事故の翌日の登校時。まだ生々しい血の痕があって…そういうのって、その時はじめてでさ。けっこう衝撃的だったわけなのよ」
「あぁ」
「深夜でね、色々とね、思い出しちゃってたんだ。それでもあまりにも待たされてたもんだから、移動しようと思ったわけ。そしたら案の定、人が一斉に動いてさ」
「遮断機直ったの?」
「ううん。辛抱切らした誰かが遮断機を持ち上げて、踏切を渡ったみたいなの」
「交番が横にあって、人も車も大勢待っている中?」
「そう。集団の目があるから誰も行動にうつせなかったのにさ、一人渡り始めるともうね。一気よ!溜まっていた人が”うわぁっ”って踏切渡り始めて」
「誰かが最初に渡ってくれるのを待っていたんだろうな」
「ねー。集団行動好きな日本人らしいよね」
”ニュースの時間です”
「にゃにゃ!?」
テレビをひとりジッと見ていたにゃこさんが、テレビに向かって反応をしていました。
「ん、何?」
「え?ほんとだ。てんまちゃんがテレビに出てるっ」
「何してんの?」
続きます