前回のお話
まゆさん宅でお話し中のUSAさんとまゆさん。
最近USAさんは、ポ村の雰囲気につかり過ぎて、都会のある部分に怯えるようになったそうです。
お話し中、まゆさんは突然ー。
都会にいる人々も同じように、駅構内で喧嘩中の人間を見ても”邪魔だな”くらいに、感じているのだろう。
「あっ、なんでこんなの出すのにゃ!」
「にゃこちゃん?」
お掃除中のまゆさん、ついでにキャリーバッグを出しています。
にゃこさんは、そのキャリバをジッと見つめている。
大抵病院に連れていかれるときは、にゃこさんもキャリーバックに入れられます。
そのため、危険を感じたらしい。
「にゃこ、お医者はいやにゃて!」
「今日じゃないよ。明日ね。ただの定期健診」
「テイキケンシンてなんにゃの?むつかしい言葉つかってにゃこさん、分からないにゃにゃい!」
「大丈夫、今回のお医者は女医だから」
「女医にゃの?」
「そう、女医」
「女医!いいにゃにゃい!女医いいにゃにゃいっ!!いつ女医のとこ行くにゃの?」
「だから明日だって」
「女医かぁ。ピリピリして怒鳴りあっている男たちの前に女医を投入したら、イライラも少しは解消されるんだろうなぁ」
「USAは特に人が多い所に行くからそんなこと思うんじゃない?繁華街だって少し道をそれると人が閑散としてたりするし」
「そうなのよね。駅周辺はあんなに人が多くて酔っちゃうほどだったのに、一歩路地に入ると途端にひと気がなくなるの。それがまた怖い」
「なんで?歩きやすくていいじゃん」
「人が多いとピリピリする反面、安心するとこもあんのよ」
ひと気のない通り。
急に異世界に入り込んでしまったのではという感覚。
背後の闇の中から異形の者でも現れるんじゃないかという恐怖。
都会のちょっと苦手な部分。
「雪の日とかに転んでも、だれも気にかけてくれない」
「それは気にかけられなくていいんだけど」
「え?そう?あたし”えへへ。やっちゃった”みたいにやりたいんだけどな」
「”転んじゃったねっ”て同調して欲しいわけ?」
「うん、してほしい」
「あーおいしかったぁ」
「腹いっぱい」
「いっぱいにゃ」
まゆさんたちは夕食後、まったりと寛いでいました。
「そういえば、あたしねー。昔、実家に住んでいた時にさ、帰りが終電になったことがあったのね」
「USAん家、まぁまぁ都会だっけ?」
「うーん、何にもない町だけど、人だけはそこそこは住んでる」
駅前の大通り。
そこには人通りも車通りも多い、一番賑やかな踏切がある。
続きます