マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

フィトンチッド その1

憎くて憎くて仕方がない人がいる。

目の前から消えていなくなって欲しい。

そういう時って、一体どうしたらいいんだろう。  
     
マメチュー先生の薬局の、鉢の中で暮らす木じじい。
木のじじいであるため、鉢の中から出て移動するのは一苦労。
そのため、ほとんどの時間を同じ場所でジッとして過ごしています。


まゆさんには、ハンガーラック扱いをされることもありますが、それでも静かに佇み患者さんを見守っています。

動くことも出来ます。あんよは泥だらけです。
自ら動くことが少ない木じじいですが、たまに日向ぼっこをしていたりすると、木じじいの元に虫や動物たちが癒されに来ます。
お花からは甘くて美味しい蜜がとれます

そして、ごくたまに観光客も木じじいに会いに来ます。


「USAさん、木じじいさんって人気なのですね」
休憩中に薬剤師のパゴロウさんと、調剤事務のUSAさんがお話をしています。

「なんだか一部の人たちの間で”木じじいを待ち受けにすると運気が上がるー”なんて噂されてるんだって」

「そうなんですか。初めて知りました。すぐ近くで働いているのに」
「運気がどうの以前に、植物ってみんな好きだよね。癒されるしね。桜とかほとんどの人、好きだもんね」


「そういえば以前、彼岸花を見に行ったんですけど、最寄り駅のホームから落ちるんじゃないかと思うくらい混雑してましたよ」
「あたしも藤の花を見に行った時、すごい人でさ。藤の花は美しくて癒されたけど、さすがに疲れも感じちゃった」


「分かります」
「あのさ、ポ村の占い師・ソヨウ君って知ってる?当たるって有名らしいけど」

「えっと、名前だけは」
「その占い師がさ、ポ村の外の人から相談を受けたんだって」

「わざわざ村の外から?」
「占い師には守秘義務があるから、詳しくは知らないんだけど。憎くて恨んでる人がいる、って人からの相談だったかな」


「恨み」
「恋や仕事の相談も多いらしいけど、けっこう縁切りの相談も多いみたい」


「恨んでいる人と、自分の好きな人の縁切り?」
「そんでね。その人に丑の刻参りを勧めたんだって」



有名な呪いの儀式。

神社の御神木に、藁人形を釘で打ち込み、憎い相手に呪術をかけるというもの。


「ってことは、その悩んでいる人は女性?」
「ああ、そうかもね。丑の刻参りって男の人、やらないっぽいよね。おしろい塗って、紅をさしたりするもんね?」

「男の人は呪いをかけるより、力で実行する人の方が多そうですからね。でもなぜ、丑の刻参りなんかを」

続きます