前回のお話
ねこ森町のねこさんたちは、お薬屋さんごっこをしています。
患者役のねこさんは、何やらほしいお薬があるみたい。
「ほしいものとは、なんにゃすきゃ?」
「それはにゃすね」
お薬嫌いのねこさんたち。
でも実は、人間が飲む薬は気になる。
いつも薬を“飲め飲め”という人間たち。
なのに自分の薬は一切さわらせてくれない。
「さわっちゃだめだよ。危ないからね」
そんなことを言うけれど、あれは自分たちによこす薬とは違うのではないか。
ねこさんたちは、気になっていたらしい。
「絶対すっごくおいしいやつにゃと思う」
「そうにゃよね。ほんとはおいしい物にゃよね」
おとなのねこさん、そういうの気づいちゃう。
にんげんのこどもとかも同じように欲しがったり憧れてたりする飲食物、嗜好品があることを知っている。
例えばコーヒーとかお酒とかたばこ。
こどもさんはだめでも、おとなのねこさんは大丈夫なはずなのです。
だからあのお薬を食べさせてもらいたいと思います。
さて、どうやってあれを頂くか。
人間が服用している薬を普段から見ていて、そんな風に企むねこさんたち。
「たまに落っことしたりしているから、それを狙うにゃ」
「それいいにゃね」
「とってもいいにゃ」
ねこさんは駄目って言われるものほど、興味をひいてしまう。
そしてにんげんたちがリアクションをすればするほど、かまってもらえて楽しくなってしまう。
追いかけっこしながら、同じものを口にしてみたい。
それってとっても楽しいし嬉しい。
ねこさんたちというものは、こちらが飲んでほしいお薬は素早く察知して、どんなに工夫しても飲んでくれないのに。
ねこさん用投薬補助アイテムがもうちょっと充実してくれたらと、日ごろ思っているのに。
薬の有効成分は1割といわれています。
薬を使いやすく、飲みやすくしたりするため、9割が添加物。
ここをねこさんがもっと飲みやすいように、工夫できないものだろうか。
そんな風に人間に苦労をかけていることをあまり分かっていないねこさんたち。
「これ、これでとったらいいんにゃにゃい?」
「バレずにとれそうにゃ」
マジックハンドを手に、こそこそ薬をとろうとしているようです。
失敗するのでしょうけど。
続きます