ハロウィンの夜。
ねこ森町では、ねこさんたちによる仮装がはじまっています。
悪い霊からねこさんの身を守るためです。
ねこさんたちは基本、怖がりなのです。
「早くお着替え手伝ってにゃ」
くろねこさんに、連れてこられた魔女の方、なぜだかねこさんたちのお手伝いをさせられています。
「ぽーっとしてにゃいで、お菓子もだすにゃよ」
「はい。お菓子ですね」
ハロウィンには必須のお菓子。
「みんなをおもてなしするために、お菓子を出してくれなきゃにゃにゃい」
「お菓子出さないと、いたずらされちゃうにゃにゃい」
魔女の方、ねこさんのお着替えとお菓子の準備で大忙し。
「トリックオアトリート」
「お客さまいらっしゃいましたー」
「にゃきゃー」
「こわいにゃー」
やってきたのは、可愛いお子様たちではなく奇妙なお客さまでした。
「にゃ?」
魔女の方に会いに来たのでしょうか。
どうやらこうもりさんのようです。
よく見たら小っちゃくってかわいい。
影のせいで、大きく見えただけみたいです。
「なんにゃぁ。ちっちゃい子にゃ」
「早く上がるにゃ」
その後も奇妙なお客さんが次々と尋ねてきます。
ドラキュラ、死神、ミイラ男。
「にゃきゃー」
「こわいにゃー」
最初はそんな風に怖がっていたねこさん。
しかしモンスターの方たちに対して、次第に慣れてきたねこさんたちは、一生懸命おもてなしをします。
「お菓子あるにゃよ」
「おいしいやつにゃ」
モンスターの方、色々とお世話をされてしまいます。
「このお菓子はね、人間たちが作ってくれたんにゃ」
「人間、知ってるにゃか?」
「見たことあるにゃか?」
ここでは人間たちも空想上の生物扱い。
知らないであろうモンスターたちに”人間とは”と説明しているようです。
「トリックオアトリート」
「お客さん、また来たにゃ」
「今日はお客さんがいっぱいにゃ」
「てんてこまいにゃ」
“じっ”
ねこさんたちに、見つめられるモンスターさん。
モンスターの方たち、てんてこしているねこさんたちのお手伝いです。
「お客さまにお茶出しといてにゃ」
「お座布団もにゃよ」
魔女のおばあさん、モンスターの方たちは大忙し。

本当はねこさんたちをハロウィンの夜、襲いに来たはずの彼ら。
ねこ森町では、ねこさんたちの面倒を見るのに大わらわのようです。
「トリックオアトリート」
「ほらー、またお客さんにゃよー」
魔よけのはずのランタン。
モンスターの方、それを見つけて慌てて隠れる。
「あれ?どこ行ったにゃ?お水にゃよー。おいしいやつにゃよー」
ねこさんに大声で呼ばれるモンスターの方。
彼らにばれないよう、息をひそめています。

どうやらねこさんの面倒をみるのはもう、やんなっちゃったご様子。
そんなモンスターの方たちは自らの不思議な能力を発揮して、ねこさんたちにばれないよう、そっと出ていくことにしました。
「いなくなっちゃったにゃわ」
「どこ行ったにゃろか」
不思議で奇妙でちょっとこわいハロウィンの夜。
今宵、誰かを襲うのはあきらめることにした、ねこ森町のモンスターの方たちでした。