マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

蕁麻疹発症 その1

“聞いた?秘密の言葉”


“秘密の言葉?なにそれ…”


“それを聞くとね。全身が…”

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「USA来たぞー」




日曜日の午後。


まゆさんが、USAさん宅に遊びに来ました。



前から楽しみにしていた、まゆさんとの約束の日。



このあと一緒に食材を買いに行き、ご飯を作る。




そしてテレビを見ながらおしゃべりをして、夜まで遊ぶつもりでした。




この日のために便秘でぽっこり出たおなかを引っ込めようと、努力していたUSAさん。



「まゆちゃん…あのね。
今日、会えなくなった」



「USA?なにそれ。せっかく来たのに」



「ごめん。連絡しなくて」



「用事でも出来たわけ?」



「……」



「顔も見せないの?」



「……」



「ふうん。分かった。じゃあ帰る」



「ごめん」




明らかにいつもと違う様子のUSAさん。



(まゆちゃん、怒らせちゃったよね。
急に会えないなんて言ったりして)



自分で追い返したものの気になったUSAさんは、窓からそっと去り行くまゆさんの後ろ姿を、確認することにしました。



仕草や様子を見れば後ろ姿からでも、機嫌が分かるかもしれない。




しかし…



辺りを見回しても、まゆさんの姿が見当たりません。



(もう行っちゃった?速くない?)



…もしかして…?



窓の下を確認してみる。




するとまゆさんがしゃがみ込んで、USAさんの方を見上げていました。



「よっ!」



まゆさんはUSAさんの顔を意外にも、優しく見つめていました。




「まゆちゃん、あたし…」

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USAさんの顔があちこち腫れています。



それはもう、まるで別人のよう。



「こんなんじゃ、外出られないよ。

恥ずかしくて病院にも行けない」



「いつから腫れてるの?」



「腫れたのは今朝だけど…」



かゆみに気が付いたのは昨日、土曜日の夜でした。




“ん?太ももかゆい”



そう思って見てみたら、小さな赤い点があったのです。






「ねぇ、まゆちゃん。
これなんだと思う?」



「う~ん。で?
その赤い点が、今日は腫れてたわけね?」




「うん」




昨日の時点では、確かに赤い点だった。



(何これ。虫刺され?ノミ?ダニ?)



かゆみに気が付いた時にはすでに、身体のあちこちに赤い点がありました。



「!!なんなの、これ?」



その日は腫れること無く、赤い点のまま。

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よく分からぬままUSAさんは、そのまま眠ることにしました。



明日には治るかもしれない、そう思って…



なのに…



「眠れないっ、無理っ」



ゴロゴロゴロゴロ~



ベッドから転がり出て来たUSAさん。



「ひいいぃっ、かっゆ~!」



ベッドに入った途端、尋常じゃないかゆさが体中を襲う。



どうやら身体が温まって、もっとかゆくなってしまったみたいです。



「ああ、さすがに夜は冷えるわね…」


一人呟くUSAさん。




かゆすぎるため布団に入っていられず、USAさんはヒンヤリした床に転がって寝ていました。





「まゆちゃん、頭もかゆい。
手のひらもお尻もかゆいのー!」



「かいたろか?」



「ぬ、それは結構です。
それより…恥ずかしいよ。どうしたら良い?」



「その症状、蕁麻疹みたいだね」



「蕁麻疹?」



「原因に心当たりある?」



「原因…」



USAさん、考えてみます。



何しろ体中が、かゆみでこんなに腫れ上がってしまったのは初めてなのです。


次回へ続きます