マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

姉妹 その1

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あたしの前ではいつも斜め後ろ向いちゃって、ロクに顔も見せてくれない女。

なんだかんだでそんな姉に会わなくなって今日で、ちょうど半年。

親ならまだしも兄弟というのは、親元を離れるとあまり会わなくなるものらしい。人によっては、ほとんど縁切り状態になっている人もいるという。

 

特にうちは母親が違うし、一緒に住んでいたのもそう長いわけじゃない。

それでも思い出はたくさんあるけれど。

 

母親違いで1歳下の妹って、そりゃ複雑だよね。

まぁ、あの子はその辺に関しては、なんとも思ってなさそうだけど、世間的には…そういうのはね。

 

だけどあたしはあの子…姉に会いたいのさ。

本当は連絡だって毎日したい。

このままだと会うことないまま、今度は1年を迎えてしまう。そのあとは、会わない生活が当たり前になっていきそうで、それが怖い。

 

「あ、トビー」

 

 

「ぬ?」

 

 

「何者だ!」

 

「忘れられてる!?あたしかわいそー。今のはしゃぎぶり返して。あたしたち会ったことあるじゃん」

「ぼくはおまえに会ったことない。おまえなんか知らない!」

 

「だって、きみトビーくんでしょ?」

「ぼくはトビーくんだけど…お前はだれだ?」

「ねーえー!少しくらい思い出そうとしてよ。そんなにあたしって印象薄いかな?」

「しらない人間を思い出すことはできないものっ!」

 

トビーくんは会話をしながらも、何かを探すようにキョロキョロしています。

 

「何か落としたの?探し物?」

「お誕生日に買ってもらった、大事なおもちゃが無くなったんだ」

 

「このあたりで無くしたの?」

「わかんない。気づいたらなかった。どこかで落としたのかなって」

「おもちゃねぇ…一緒に探す?」

「だめだ!どこの誰だか分からない人間とは、関わらないんだ。さてはおまえ!おもちゃを盗む気だな?」

 

「この子ときたら、ほんと失礼だなぁ。じゃあ、思い出すためにきみとあった時のこと話してあげる。最初に会ったのは2年前の5月20日。ママと一緒に薬局にいたよね?」

「2年前?」

 

「次に会ったのはね、その年の暑い夏の日。8月の15日だった。多分夏休みでその時はパパも一緒にいたよ」

 

「うそだ。そんなこと覚えているわけないじゃないか。子どもをばかにするな」

「うそじゃないって。あたしね、記憶力いいんだ。かっこいいパパときれいなママ。トビーはどっちかっていうとママ似だね。よく言われるでしょ?」

「う…。じゃあトビーから質問をする。トビーの誕生日はいつでしょう」

「知らないよ、そんなこと」

 

「やっぱり知り合いだなんてうそっこだ!」

「そんなこと言われたって、あたしトビーの誕生日、聞いたことないもの」

 

「知り合いなのに?ぬぅ、やっぱり怪しい」
「怪しいかなぁ?あたし怪しいなんて言われたこと、ないんだけど」
 
続きます