マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

蕁麻疹発症 その2

前回のお話

USAさんの身体に、蕁麻疹が発症。


まゆさんと蕁麻疹の原因を探ることに。




「やっぱり山芋のアレルギーなのかな?」



「山芋たべたの?」



「うん。おいしかったけど、口の周りがかゆくなっちゃって」




でも山芋を食べていた時の症状とは、明らかに違います。



【山芋】
アセチルコリンという物質が、皮膚に影響を与えかゆみなどの症状が出てくる。



「アセチルコリンのやつが、あたしに悪さを?」



「アセチルコリンはね、確か仮性アレルゲンと言って」



「仮性アレルゲン?」


【仮性アレルゲン】
食品中に含まれているヒスタミンなどの、化学伝達物質が組織に直接作用して、アレルギー反応が起こったかのような症状を引き起こすもの。



「マメチュー先生から聞いたんだけど、山芋に含まれている何とかカルシウムが原因なんじゃ無いの?」



「シュウ酸カルシウム?
あれはアレルギーじゃないしな」



「あたしもそんなに山芋、食べてないし。

口の周りがかゆくてお茶碗一杯分、ご飯にのっけて食べただけ」



「山芋で蕁麻疹を起こすことも、あり得ると思うけど…

山芋以外でその症状になったであろう、食材の心当たりは?」



「あのね、最近便秘でね。
便秘を解消するための食材を、多くとってはいるんだけど」



ワカメはUSAさんには消化が出来ず、そのまま便として出て来てしまうので、腸内環境を良くするためのビフィズス菌とか、乳酸菌をよくとるようになっていました。



「ビフィズス菌、乳酸菌。蕁麻疹…」



何やら調べているまゆさん。



「他には?」



「他?発酵食品とか水溶性食物繊維が含まれた食材とか、あとはオリゴ糖とかかな」



「う~ん」


まゆさん、唸っています。



「もうちょっと詳しく」



「えっとね、待って。思い出すから」



食べていた食材の種類が多くて、なかなか全ては思い出せないようです。




何しろ最初は便秘に効果がある食材でも、すぐに効かなくなってしまうため、色々試していたのです。



「ここんところ野菜もたくさん食べてるし、果物も食べてるし…

そうだ。
一日30品目食べてる人の、アレルギーの原因を探るのって大変なんだろうね」



USAさんは会話をしながらも、鏡をチラチラ見ています。



自分の現在の容姿が気になる様子です。




夕方になるにつれ、赤みや腫れがひどくなっているように見えます。



(ずっと治らなかったら、どうしよう)



全身かゆそうにしながら、俯いています。

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USAさんのために、色々考えている様子のまゆさん。



「蕁麻疹になる原因って、食べ物以外にもあってさ」




「食べ物以外?」




「そう。
例えば運動・入浴とかで汗をかくと現れる“コリン性蕁麻疹。

食べ物とか薬に含まれるアレルゲンに反応して現れるのが“アレルギー性蕁麻疹。

他には洋服やアクセサリーとかの物理性刺激によるものや、内臓系の病気が原因になっているものもある」


「いっぱいあるわね。

でも服やアクセサリーは、買い物に行けてないから新しいモノとか触れてないし…」




「なるほど。
要するにUSAが、今までやってなかったこと…

蕁麻疹の原因になりそうなことっていうのが、食べていなかったものを食べるようになったって事ね」



「うん」




元々は快便だったUSAさん。


なのに最近は便秘気味。


それで便秘解消するために、色々と模索していたようです。



「はぁ…。
ストレスで、便秘になったのかな」



新型コロナウイルスのせいで、大手を振って外を歩き回れないのが原因と考えているようです。



「出掛けたいんなら、ポ村を散歩するんでも楽しいじゃん」



「それなんだけどね。
近頃妙な噂を聞いて、ちょっと怖くなっちゃって」



「噂って?」



「子供たちの間で広まってる、噂なんだけどね。

人が倒れてるって…」




「人が倒れてる?それで?」




「倒れてたはずなのに、もう一度見に行くといなくなってるんだって」



あちこちで目撃されている、村で倒れている人間のようなもの。


倒れている姿を目撃されては、姿を消すという怪人。


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「それ具合悪くて倒れてたんじゃ無いの?
そんで回復して移動した、と」



「何でそんなに何回も、倒れるのよ」




「知らんけど、別に怖かぁないじゃん」



「でも何者か分からないしさぁ…」


次回へ続きます