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前回のお話
トビーくんは探し物の途中、ポ村に現れた知り合いだという女性に出会います。覚えていないトビーくんは訝しみますが、女性が語るトビーくんの情報は正確なようでした。
「でも大きくなったね。うーん…2年前から身長は10センチ以上は伸びてるかな?当時は幼稚園生だったね」
「う!なぜそれを!いやいや、トビーが何歳かなんて、見ればなんとなく分かるもののはず…」
「きみは今もちっちゃいけど、もっとちいちゃくて。その時、丁度お昼でさ。トビーは、ママにご飯食べさせてもらってたよ」
「なんだそれ、うそをつくな。幼稚園生だったら、もうご飯くらい一人で食べれてたよ。やっぱりうそつきだ!」
「うそじゃないよ。トビーはね。その時ハンバーグを食べてたよ。デミグラスソースの。美味しそうにしてた。きみ、ハンバーグ好きでしょ?」
「子どもはみんなハンバーグが好きなのだ」
「そうだね。付け合わせのフライドポテトもおいしそうに食べたたけど、子供の嫌いなにんじんはやっぱり食べてなかった。インゲンも嫌がってたね。野菜は好きになった?」
「もうピカピカの小学1年生だ。給食でちゃんと残さず食べてるんだ」
「本当?じゃあ、大人になったんだね。あの時は青い幼稚園の制服みたいなの着てたのにね」
「どうしてトビーのお洋服のことまで知ってるんだ!お前、ほんとに何者だ!」
「あたしの名前?まだ思い出さない?」
「…」
「あたしね、しょうまっていうんだ」
「…聞いたことないお名前」
「寂しっ。自己紹介2回目なんだけどなぁ。すっかり忘れたおわびに抱っこさせてー」
「子どもを誘拐しに来たのか?」
「む?」
「もう、この子は危ないし、人聞きも悪いんだから」
トビーくんは近くでしょうまさんを見て、急に何かを感じたようです。
「この村にね。知り合いがいるからさ。それで遊びに来ただけなんだけど」
「知り合い?」
「そう、あたしのおねえちゃん」
「おねえちゃんはね、知り合いじゃないよ」
「知り合いじゃないの?」
「そうだよ、家族だよ」
「ああ、うん。そうだね。確かにね。そう家族」
「で、お前のおねえちゃんって誰だ?」
「…」
「言えないのか?」
「ほんとに覚えてないんだねぇ。あのとき一緒にいたよ?」
「ねぇトビーくんは、女の子だっけ?」
「むむ!?」
「トビーは男の子っ!」
「だよね。知ってる。キッズ用コスメいらない?もらったの。あたし化粧品会社で働く薬剤師なんだ」
「こすめ?」
しょうまさんは、化粧品に配合する成分の研究等をしている薬剤師なのです。
続きます