マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

鼻ぺちゃの犬

「楽しかったー、でも買い物しすぎて遅くなっちゃったな」



USAさんが都会で買い物に夢中になりすぎたため、少し帰りが遅くなってしまった日のこと。



家路を急ぐ彼女の背後から、何かが聞こえてきました。



「フゥ〜、フゴー」


「!?」

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暗い夜道。
何やらとても、興奮している感じの鼻息のようです。


「フゴッ、フゴフゴ」


「なっ何?怖いっ」



「フゴッフ、ゴフゴフ」



もしかして、都会に現れるという変質者?

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コートを開けておなかを見せてきます

「フゴゴゴゴー」



ついてくる?
この人、あたしを見て興奮しちゃってる?






ねぇ、まゆちゃん。フレブルって可愛いよね。



お買い物に行った数日後、まゆさんとおしゃべりをしているUSAさん。

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「なにその指、えんがちょポーズ?」



「違います」



「そんでなに?フレンチブルドッグ飼うの?散歩させてよ」



「にゃ」


話を聞いていたにゃこさんは甘えるように、まゆさんを独占するように、膝の上に乗っかります。

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USAさんは構わず、話を続けます。



「飼わないよ。単純に可愛いよねって話」



「いいじゃん!飼おうよ。元気ない時とかきっと、めちゃくちゃ癒されるよ。薬飲んで治すよりは、その方が建設的じゃん」



「自分が癒されたいからってだけで、動物を飼うのは良くないと思うのよ。
フレブルちゃんが幸せになる環境を、整えてあげないと。
あたしあんまお金がないからさ。
お金入ったらすぐ出て行っちゃうし」



「珍しく殊勝なこと言ってんじゃん」



「…ねぇまゆちゃん、ごはん」

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「はいはい」


にゃこさん、おねだり。
USAさんは、まだ話を続けます。



「でね、あの子たちって鼻ぺちゃじゃない?」



「そこがチャームポイントだけど、人間が品種改良した結果だと思うとなんだかだよね」



「うん…。でね、鼻ぺちゃだととても、呼吸がしづらいみたいなの」



「散歩してんの見かけるけど、いつもフゴフゴ言ってて、歩くのも大変そうだよね」



「うん、そう!この間あたしさ」




USAさんは数日前、都会から家路を目指していた時の話を始めます。




「ほう、フゴフゴ言いながらついてくる奴がいたと。
そんで変質者だと思い、恐る恐る振り向くと?」



「すっごく可愛いフレブルちゃんがいたのっ」



「なるほどね…」



「もうあたしったらほんとバカみたい。自意識過剰」


「確かに」


「…」




それからUSAさんは背後から荒い鼻息が聞こえてきても、犬がお散歩していると思うようにしているそうです。




「この間も荒い鼻息が背後から聞こえてきたんだけど、振り向くとやっぱりフレブルちゃんだった。
それがまた可愛くって。思わず見つめちゃった」




「分かるよ」



「まゆちゃん、まゆちゃん。おトイレしたにゃ。きれいきれいしてにゃ」

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「はいはい」


にゃこさん、お掃除の要求。
USAさんは話を続けます。




「その可愛い子は、若いお兄さんとお散歩しててね。
微笑ましく見ていたら、お兄さんが急にフレブルと一緒に座り込んだの。
普通に道端で。そして何かをカバンから取り出そうとしているようだったんだけど」

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「ほう」




「でも気になるからって立ち止まって、その様子をずっと見ているわけにもいかないじゃない?
だからなにをしていたのかと思って、フレブルちゃんのことをネットで調べてみたの」




【フレンチブルドッグ】

ちょっとしたことで、呼吸困難や熱中症に陥ることがある。

“気温・散歩に出かける時間”には注意する。

すごく「フゴフゴ」と言ってる時は苦しいはずなので、水を飲ませて体温を下げてあげる。






「へぇ、鼻ぺちゃ犬を飼うのも大変なんだなぁ」



「きっと若いお兄さんは、お水を飲ませてあげようとしていたのね」



「ああ、そうかもね」



「ほんとは何をするのか気になったから、最後まで見ていたかったんだけどさ。
ずっと見ていると今度は、こっちが変質者じゃない?』



「確かに」


「…」



「まゆちゃん!お座布団を爪でひっかいたら、中からもこもこしたやつが出てきたにゃ」



「はいはい、ちょっと待ってね」



「もこもこ出たにゃー!」

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「はいはい、すぐ行きますよ」



飼う動物の種類によって、飼い主の苦労は違うようです。