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みなさんは写真、好きですか?
両親というのは基本、子どもの写真を撮りたがるものですよね。
やはり成長していく姿を収めておきたいのでしょう。
ポいもも物心つく前から出かけるたびに写真を撮られていたため、幼い頃の写真を見返しても私自身、撮られることを嫌がっている様子はありませんでした。
当時は撮られることが当たり前だったのです。
気になることがあるとすれば”兄弟あるある”で、妹である私の写真の方が、ポあねよりも少ないことくらいですかね。
しかし幼い頃はいつも撮っていた写真も、小学校高学年くらいになるとその数は激減。
激減というかもう、全く撮られなくなりました。
それにより写真を撮られることに対する照れがいつの間にか生じ、私は写真を撮られることが苦手になってしまいました。
若い頃はね、プリクラも嫌でしたね。
もちろん今は、プリなんてものを撮ること自体しませんけど。
その結果、中高は卒アルしか私の写真はなく、それ以降の年齢になるともう、ほぼ私の写真はありません。
たまに犯罪者でけっこうな年齢なのに、テレビに出ている写真は学生時代だったりしますよね。
あれを見ると、この人も写真を撮ってないんだろうなぁって思います。
逆にSNSに、目一杯自分の写真を残している犯罪者もいますけどね。
そして私は自分が撮られることだけでなく、人の写真を撮ってあげることも苦手です。
知人に頼まれるのならまだ「撮るよー」とかって言えるんですけど、観光地とかで知らない人に”写真撮ってください”と頼まれてしまうやつ、あれほんと苦手。
ご本人の希望通り上手く撮れるかどうかも不安ですし、なにより撮るときに言う”はい、チーズ”ってやつ。
今の時代は写真撮るとき、なんて言うんですかね。
結局「はい、撮りますよ」みたいなことしか言えないんですけど、言った途端こっちむいてポーズ撮られちゃったりするとね。
やっぱりちょっと緊張しちゃうんですよね。
”素敵に撮らねば!”と思って。
考えてみれば、対人間でなくても”写真を撮る”という概念は、私の中にあまりなかったように思います。
携帯電話を初めて持った時は物珍しくて、ちょこちょこメールしてみたり、写真を撮ってみたくなったり。
スマホになってからは、アプリでゲームをやってみたりと、最初のうちはあれこれとやっていたのに今はもう全く…
そんな私の人生の中で唯一、熱心に写真を撮っていたもの。
それは幼きころのぽんちゃん。
にゃこさんの前世ねこ、実家で一緒に暮らしていたぽんちゃんです。
自分の子供の成長を写真に収めたい親と一緒。
可愛いぽんちゃんが成長していく姿を収めたかったのです。
ねこさんというのは、写真を撮られるのが苦手な子も多いみたいですが、ぽんちゃんはそんなに苦手ではなさそう。
注目をさせなくてもカメラに目線をくれます。
「そうだよ、ぽんちゃん。写真撮るの。かわいい、かわいいっ!」
一方。
「え?ポにゃちゃん。駄目なの?写真駄目?」
ポにゃちゃんは写真、好きじゃないみたい。
ポあねが撮ってもこのお顔なのですから。
撮る前から、携帯向けるだけで怒っちゃう。
だけど、そんなポにゃちゃんの気持ち、正直私は分かるよ。
分かるんだけど、可愛いポにゃちゃんを撮りたいというポあねの気持ちもね、分かっちゃうんですよね。
だからもうちょっとだけ可愛い顔して欲しかったな。
見返す時、お怒りの写真ばっかりだと、ねぇ。