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前回のお話
今日はマメチュー先生、トビーくん、クラゲさん、ヤマオというメンバーでポ村の鉱物を採取しに来ました。
この鉱物は加工により薬になったり、ライトになったりするという、優れものなのだそうです。
「トビーさん、危ない遊びはだめですよ」クラゲクッションが代わりとして待機中
「マメー、ガムでふうせん出来たー。上手ー?」
「すごいすごい!一番上手です」
「あのね、お友だちのペンネ君はふうせん作れないんだってー」
「じゃあトビーさん、今度教えてあげて下さいね」
「うん」
「ふうせん割れちゃった」
そのとき、突然不穏な空気が辺りを包み込んでいるように感じたマメチュー先生。
「なんか、暗くなりましたね」
「真っくろくろの雲。雨ふるかな?」
チリン、チリン。
「マメッ。そんちょーの鈴だっ!」
村長がポ村で警戒すべきことが起こった時に鳴らす、鈴の音が聞こえてきました。
「ほんとですね。どうしたんでしょう」
どうやらポ村に”カゲ”が現れたようです。
カゲとは、負の感情のカタマリの化け物。
放っておくとストレスが増加し、うつ患者も増えると言われています。
しかしまともにカゲを見てしまうと、不安な思いが心をしめたり、全てのやる気を奪われてしまうことがあります。
さらに孤独感や消失感などに襲われ、心にマイナスな影響を与えてくる。
人によって食欲不振・睡眠障害などの症状まで現れるそうです。
そうなると心のお薬が必要になってきます。
滅多に現れることはありませんが、平和なポ村に巣くう黒いシミのような存在、それがカゲなのです。
残念ながらやつらには村の結界も、ほぼ通用しません。
やつを退治するには御神木のそばに祀られている、大きな十字架が必要。
ですがこの十字架はとても大きく、持ち運ぶには男手がいります。
しかしポ村の男性の多くは都会に出稼ぎに出ているので、ポ村内には少ないのが現状。
したがって大抵の場合はカゲが現れても、ポ村から過ぎ去ってくれるのをジッと待つしかありません。
「十字架は男の子のトビーくんが持つっ!」
小さな男の子のトビーくん、張り切っています。
幼い子どもさんには、カゲの影響が少し弱まるようです。
「トビーさん、頼もしいですね。でも今回は、鉱物の陰に隠れていてください」
「えーなんで?じゃあ、ポ村のみんなのためにカゲを倒さないの?どっか行くまで待つの?」
「いえでも、トビーさんには危険ですから…」
「じゃあ、ヤマオが十字架持つ?」
「あっ」
そうです。
ポ村には男性が少ないですが、ここにはポ村一大きな男、ヤマオがいるのです。
「ヤマオさん!十字架を運ぶの私と手伝っていただけますか?」
「…」
「ヤマオさん?」
続きます