マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

負の感情の化け物 その2

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前回のお話

今日はマメチュー先生、トビーくん、クラゲさん、ヤマオというメンバーでポ村の鉱物を採取しに来ました。

この鉱物は加工により薬になったり、ライトになったりするという、優れものなのだそうです。

「トビーさん、危ない遊びはだめですよ」クラゲクッションが代わりとして待機中

 

「マメー、ガムでふうせん出来たー。上手ー?」

「すごいすごい!一番上手です」

「あのね、お友だちのペンネ君はふうせん作れないんだってー」

「じゃあトビーさん、今度教えてあげて下さいね」

「うん」

「ふうせん割れちゃった」

 

そのとき、突然不穏な空気が辺りを包み込んでいるように感じたマメチュー先生。

 

「なんか、暗くなりましたね」

「真っくろくろの雲。雨ふるかな?」

チリン、チリン。

「マメッ。そんちょーの鈴だっ!」

 

村長がポ村で警戒すべきことが起こった時に鳴らす、鈴の音が聞こえてきました。

「ほんとですね。どうしたんでしょう」

どうやらポ村に”カゲ”が現れたようです。

 

カゲとは、負の感情のカタマリの化け物。

放っておくとストレスが増加し、うつ患者も増えると言われています。

しかしまともにカゲを見てしまうと、不安な思いが心をしめたり、全てのやる気を奪われてしまうことがあります。

さらに孤独感や消失感などに襲われ、心にマイナスな影響を与えてくる。

人によって食欲不振・睡眠障害などの症状まで現れるそうです。

そうなると心のお薬が必要になってきます。

 

滅多に現れることはありませんが、平和なポ村に巣くう黒いシミのような存在、それがカゲなのです。

残念ながらやつらには村の結界も、ほぼ通用しません。

 

やつを退治するには御神木のそばに祀られている、大きな十字架が必要。

ですがこの十字架はとても大きく、持ち運ぶには男手がいります。

 

しかしポ村の男性の多くは都会に出稼ぎに出ているので、ポ村内には少ないのが現状。

したがって大抵の場合はカゲが現れても、ポ村から過ぎ去ってくれるのをジッと待つしかありません。

 

「十字架は男の子のトビーくんが持つっ!」

 

小さな男の子のトビーくん、張り切っています。

幼い子どもさんには、カゲの影響が少し弱まるようです。

 

「トビーさん、頼もしいですね。でも今回は、鉱物の陰に隠れていてください」

「えーなんで?じゃあ、ポ村のみんなのためにカゲを倒さないの?どっか行くまで待つの?」

「いえでも、トビーさんには危険ですから…」

「じゃあ、ヤマオが十字架持つ?」

「あっ」

 

そうです。

ポ村には男性が少ないですが、ここにはポ村一大きな男、ヤマオがいるのです。

「ヤマオさん!十字架を運ぶの私と手伝っていただけますか?」

「…」

「ヤマオさん?」

 

続きます