マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

怖がり屋さん その6

前回のお話

ビビりで悩む小学六年生のヨモギくん。
ポ村小で開催される肝試しが嫌でたまらない。
でも女子に馬鹿にされたくないため、まずはビビり克服にチャレンジ。
トビーくん、ケイヒさん、ナメ江さんとともに、怖いもの克服の特訓中。
優しい彼らは、さんざん付き合ってくれました。

「なぁ。トビー。そろそろ大人は退散してもいいか?」
「ソウネ、私モ、オ店ノ準備ガアルカラ」
「ありがとー。じゃあねー」
「あ、すいません。おふたりとも」

二人は近くで眠そうにしていたにゃこさんを連れ、笑顔で去っていった。
本当に変なことに付き合ってくれたなぁ。

「怖いの大丈夫になった?」
「どうかな?なったかな?」

それよりも今日は、協力してくれようとしたことが嬉しい気がする。

「なに?上手な絵。どうしたの?」
「うん!やっぱりだ。特訓したから怖いの無くなってきてるんだね。」


トビーくんはまた、僕を脅かそうとしていたみたいだった。
多分誰が見ても、だた可愛いと思うだけだと思うけど。


「そ、そうなのかな?」
「このスケッチブックね。てんまちゃんのだよ。ほんと絵が上手だよね」


「てんまちゃん?」
「お薬屋さんの人だよ。あそこにいる」

”てんまさん”ガラゴちゃんが前に言っていた女の人だっけ?
髪の長い薬局の女の人。

スケッチブックを返してくれるのを待っています
「あ、どうもこんにちは」
てんまさん、人見知り出ちゃってる

薬局の人なのに、ちょっとそっけない人だなぁ。
一方、トビーくんはひとりで一生懸命スケッチブックをめくっていた。


「ねぇ、ヨモギ。どの人だったら、びっくりする?」
「えー。人の顔だったらびっくりしないよぉ」

「そうなの?急に脅かしたらびっくりするでしょ?」
「まぁ、さっきナメ江さんたちには驚いちゃったけど」

「…あれ?この絵の人たちって、マメチュー先生の所の患者さん?」

「…」

今までなんの反応も示さなかったてんまさん。
今の僕の言葉に、反応をしているように見えた。


「かんじゃ?」
「このおばあさんは、よくクラゲタクシーに乗るとき、顔を合わせるんだ」


僕は丘の上の薬局ではあんまり人の顔を見ていないけど、丘に上がる前だったら心が落ち着いているから、人の顔を認識できるみたいだった。


クラゲタクシーは、冷んやりぽよぽよしていて、子供のころから乗るのがちょっと楽しかった。

「ううええぇいっ!?」
「きみ、薬局の患者さん?」
「え?」

さっきまでは明らかに、愛想のなかったてんまさん。

「あ、はい。ヨモギです。」
「患者さんだったんだー」

そう言うとトビーくんからスケッチブックを返してもらったてんまさんは、何かを確認している。
 
続きます