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前回の記事:残り物でデトックススープ
ここはポ村唯一の調剤薬局。
あたし、まゆが採取した薬草は、いつもここに届けている。
なんか…
薬草って眺めるたんびに、薬剤師になりたかった理由を思い出しちゃうんだよね。
「生薬っていうよりも薬草っていう響きの方が、なんか好き」
子どもの頃によくやっていた、ロールプレイングゲームの影響かもしれない。
「錬金術で”特やくそう”をいっぱい作って、いっぱい持ち歩いてたなぁ」
なのにもったいなくって、全然使えなかった。
あの、口にすればすぐ元気になる薬草。
何気にピンチを救ってくれたっけ。
「まゆさん、今日は患者さんが少ないですねぇ」
マメチュー先生がのんびりとした口調で話しかけてきた。
この柔らかい声を聞くだけで癒される。
ポ村はすっかり冬本番。
今日は北風も強くて、めちゃくちゃ寒い。
患者さんが来局する数は、激しく天候に左右される。
「寒いですもんね、すっごく」
あたしは夏も冬もどっちも苦手だ。
こんな日は薬局に来る元気があるくらいなら、家でゆっくり休んでいた方が得策。
その方が、医療費の無駄遣いにならないからね。
なのでマメチュー先生は村の皆に、セルフメディケーションをすすめている。
ついでにポ村の村長もマメチュー先生同様、村人にすすめまくっている。
ようは自分で健康管理をして身体の不調が軽度なら、サプリ・漢方薬・市販薬等である程度解決しろよって話。
んで、栄養のある食事をとって、身体を休め、自分で不調を治しましょうねってのがセルフメディケーション・自己治療。
これももちろん医療費削減につながる。
自分のお財布だけじゃなく、国の財政にも影響する大事なこと。
まぁ、自分に頼り過ぎると判断を誤ることもあるだろうから、不安を感じた場合は医療機関を利用すればいい。
「まゆさん、なんだか寒そうですね。もしよかったら、暖かいスープがまだありますよ」
「ほんとですか?」
薬剤師として、そういう所によく気が付くマメチュー先生。
「よかったらいくらでも召し上がってください。ほんとは残り物のお野菜を入れただけのスープですから」
「いただきまーす」
”これはただのスープなんかじゃない”
あたしにとっては、マメチュー先生が錬金術を用いて作ってくれた、特やくそうと一緒。
おいしくて栄養もあって、元気が出る。
モンスターに攻撃されても、この薬草代わりのスープを摂取すれば、大幅に体力を回復できると思う。
心も温まって、MPだって回復しちゃってる予感。
「やっぱり今日も美味しい。マメチュー先生、ごちそうさまでしたっ」
続きます