マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

先生は魔法使い その1

⚫︎物語を最初からご覧になりたい方はこちら

⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら

前回の記事:残り物でデトックススープ

ここはポ村唯一の調剤薬局。

あたし、まゆが採取した薬草は、いつもここに届けている。

 

なんか…

薬草って眺めるたんびに、薬剤師になりたかった理由を思い出しちゃうんだよね。

採取した薬草

「生薬っていうよりも薬草っていう響きの方が、なんか好き」

子どもの頃によくやっていた、ロールプレイングゲームの影響かもしれない。

「錬金術で”特やくそう”をいっぱい作って、いっぱい持ち歩いてたなぁ」

なのにもったいなくって、全然使えなかった。

あの、口にすればすぐ元気になる薬草。

何気にピンチを救ってくれたっけ。

 

「まゆさん、今日は患者さんが少ないですねぇ」

マメチュー先生がのんびりとした口調で話しかけてきた。

この柔らかい声を聞くだけで癒される。

 

ポ村はすっかり冬本番。

今日は北風も強くて、めちゃくちゃ寒い。

患者さんが来局する数は、激しく天候に左右される。

「寒いですもんね、すっごく」

 

あたしは夏も冬もどっちも苦手だ。

こんな日は薬局に来る元気があるくらいなら、家でゆっくり休んでいた方が得策。

その方が、医療費の無駄遣いにならないからね。

 

なのでマメチュー先生は村の皆に、セルフメディケーションをすすめている。

ついでにポ村の村長もマメチュー先生同様、村人にすすめまくっている。

 

ようは自分で健康管理をして身体の不調が軽度なら、サプリ・漢方薬・市販薬等である程度解決しろよって話。

んで、栄養のある食事をとって、身体を休め、自分で不調を治しましょうねってのがセルフメディケーション・自己治療。

これももちろん医療費削減につながる。

自分のお財布だけじゃなく、国の財政にも影響する大事なこと。

 

まぁ、自分に頼り過ぎると判断を誤ることもあるだろうから、不安を感じた場合は医療機関を利用すればいい。

 

「まゆさん、なんだか寒そうですね。もしよかったら、暖かいスープがまだありますよ」

「ほんとですか?」

薬剤師として、そういう所によく気が付くマメチュー先生。

「よかったらいくらでも召し上がってください。ほんとは残り物のお野菜を入れただけのスープですから」

「いただきまーす」

 

”これはただのスープなんかじゃない”

 

あたしにとっては、マメチュー先生が錬金術を用いて作ってくれた、特やくそうと一緒。

おいしくて栄養もあって、元気が出る。

 

モンスターに攻撃されても、この薬草代わりのスープを摂取すれば、大幅に体力を回復できると思う。
心も温まって、MPだって回復しちゃってる予感。

 

「やっぱり今日も美味しい。マメチュー先生、ごちそうさまでしたっ」

続きます