前回のお話
まゆさんから夕方まで”お留守番しててね”と言われているにゃこさんですが、寂しくて仕方がないようです。
再びひとりぼっちでポ村を歩いています。
もう帰っているかなと思い家に様子を見に行ったら、まゆさんの姿が見当たらなかったのです。
仕方ない。
今はまだ、まゆさんが帰ると言っていた夕方ではありませんから。
「にゃこー!」
「…」
声をかけてきたのは農家を営むケイヒさん。
「なんだよ、元気ないじゃん」
声をかけてくれたケイヒさんには反応せず、にゃこさんは目についた木の上に、またもやよじ登ろうとします。
そこからマリオのジュゲムみたいに雲の上に乗っかって、まゆさんの元に行こうと思っているのです。
「なにしてんだよ。ねこって言ったって危ないぞ。高い所に登って降りられなくなったねことかの映像、よく見るんだから俺」
「なにするんにゃのよ」
「いやだからさ、危ないんだって」
にゃこさんはトウキさんに続いて、ケイヒさんにまで止められてしまいます。
「??分からないにゃ。なんでだめにゃのよ。さっきからみんな邪魔ばかりするにゃわ。嫌いにゃわ」
「そんなこと言うなよ。あ、ほら見ろ。タオル買って来たんだ。これ、ふかふかだぞ。こっち乗っかってみろよ」
たしかにねこさんたちが興味を持つタイプの、ふかふかしたタオル。
ケイヒさんはその買ったばかりの新品のタオルを、にゃこさんに使わせようとしてくれています。
ねこさんは何を言われても、自分が今やりたいと思ったことがやりたいのです。
「おいにゃこー。危ないってー」
”えっと、にゃこはいつもマメチュー先生のところにいるよな。あそこの薬局の子なんだよな”
ケイヒさん、実はまゆさんの存在を知りません。
薬局には直接出向くことはなく、いつもマメチュー先生に訪問してもらっているからです。
「お前がケガしたら、マメチュー先生が悲しむぞー」
「マメが?」
”まゆちゃんじゃなくて、マメだけ?”
「なんだよ、泣くなよ。困ったやつだなぁ。ちょうどいいから、タオルで涙拭けな?ほら、じゃあもう降りるか?」
実は高い所があまり得意ではないケイヒさん。
木の上からにゃこさんを降ろしたいのですが、怖くてできません。
「えっと踏み台とかないかな」
にゃこさんを降ろすために使えそうな何かを探すため、きょろきょろしています。
「びっくりした。にゃこ降りれたんだな」
とててててて。
にゃこさんはケイヒさんを置いて、どんどん走り去っていきます。
「どこ行くんだよー。ケガとか大丈夫だったかー?」
続きます