にゃこさんはポ村をひとり、とぼとぼと歩いています。
「まゆちゃん、まだかにゃ?」
まゆさんは朝から実家にお出かけ。
”夕方には帰ってくるからね。大人のねこさんだからお留守番出来るよね?”
にゃこさんはそう言われていました。
でもいつもいるはずのお休みの日に、まゆさんがいない。
なんだかいつも以上にさみしい。
「もうそろそろ帰ってくるかにゃ?」
まだです。
だってまゆさんがお出かけしたのは、ついさっきですから。
でもにゃこさんには夕方があとどれくらいなのか、よく分かりません。
まゆさんが帰って来るまで、どうやって過ごしていたら良いのでしょう。
「ふぅ、ちょっと座って待つにゃ」
しばらく手の上で丸まって、じっとしているにゃこさん。
ついでに絵を描いていた画家のトウキさんも、手が動かせないため同様にじっとしています。
にゃこさんはふと、空を見上げる。
「丸っこい雲にゃわ。あれに乗ったらまゆちゃんの頭の上に、にゃこをポコっと落としてくれるにゃろか」
にゃこさんは近くにあった、少し高い所に乗っかろうとしました。
きっと少しでも高い所から、まゆさんを見つけようとしたのでしょう。
「にゃほ?」
トウキさんはねこさんたちがしっぽを触られるのを知ってか知らずか、握りしめています。
「なんでしっぽつかむにゃ」
にゃこさんにしっぽをつかむ手を、ぺちぺちと叩かれています。
「はなすにゃ、はなすにゃ!」
それでもしっぽから手を離さない。
「なんにゃの、もう。まゆちゃんとこ行きたいにゃのに…」
泣き疲れたにゃこさんは、毎度のことですが今回も眠ってしまいました。
こういう所は、にゃこさんの面倒くさくない所。
眠っていたおかげで、だいぶ時間が経過。
ぱちっと目覚めたにゃこさん。
「まゆちゃん、帰ってきたかにゃあ?」
眠っているトウキさんの手をするっと抜け、にゃこさんは立ち去って行きました。
続きます