前回のお話
毎年恒例、節分の日にやってくるガリガリの赤鬼。
今年はそのもじゃ頭(かつら)の中から小さな青鬼さんが出てきました。
ひょこっと出てきた小鬼さんに、一点集中しているにゃこさん。
小鬼を捕まえてやろうと、鬼のもじゃ頭を”ていてい”しています。
「にゃにゃ」
「にゃこ、こわがっちゃうからやめてあげて」
しかし、小鬼さんもにゃこさん相手なら面白いのか、もぐらたたきみたいにひょこひょこ出てきています。
そして…
「おおっ」
小鬼さんのリベンジにまゆさん、てんまさんは驚きの声をあげています。
一方にゃこさんは驚くどころか、その柔らかいこん棒を追い回して楽しそうです。
「うふふ、どっちも嬉しそう。なんだかんだで、お友だちになったみたいね。小鬼ちゃんは、にゃこちゃんに任せることにしよう」
「あたしらはマメチュー先生の食事の支度の手伝いでもしにいくか」
マメチュー先生は、節分のお食事を準備中。
「じゃ、にゃこちゃん。小鬼ちゃんのこと、お願いねー。おとうさんはここでご飯食べてるからねー」
「フォ」
注)赤鬼さんは、おとうさんではありません。
「にゃ!」
「ぱぷ」
それを聞いたにゃこさんは、段ボールの中に小鬼さんと入っていきます。
「じゃあちょっとだけ、遊んでくにゃ」
ポ村の隣はねこさんの町。
「ねぇ、鬼。もっと食べなよ。毎年ガリガリでやってきて。まさかそんなナリして、食細いのか?」
「お口に合わない?」
先程まではものすごくお腹が減っていた赤鬼さんですが、今は色んな意味でお腹いっぱい。
「牛乳飲む?」
赤鬼は小さく首を横に振っています。
食ハラされて帰りたいのですが、小鬼さんがにゃこさんと遊びに行ったきり戻らないので、帰るに帰れない状態。
「まゆさん、てんまさん。恵方巻が出来ましたよー」
「はーい」
「マメチュー先生ー!恵方を向かずにしゃべりながら食べていいですかー?」
彼女たちはおいしそうにがつがつ食事をしています。
赤鬼さん、それを見ているだけでお腹いっぱいになるタイプのようです。
いきなり段ボールから飛び出してきたにゃこさんと小鬼さん。
「フォ!」
「お、にゃこたち帰って来た」
「楽しかったにゃー」
「ぱぷ」
二人とも遊び過ぎたのか、真っ黒に汚れています。
赤鬼さんはようやく小鬼さんが帰ってきてくれて、明らかに安堵している様子。
さっそく小鬼さんをつれて、ポ村を去ろうとしています。
「おとうさん!」
「お食事終わったのなら、お子さんをお風呂にいれてあげて」
「…」
また一緒にお風呂に入ることになった赤鬼さん。
このあとはどうやら、小鬼さん用のお食事のお世話もあるみたいです。
なので、帰るのはもう少し先になりそうですね。
小鬼さんは将来“節分の鬼”として活躍するための見学をしに来ていたそうなのですが、これで参考になったのでしょうか。