マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

知り合いになるきっかけ

ポ村には時折、強風が吹き荒れます。


「わぁっ」 


「またすごい風吹いたっ!」


トビー君とペンネ君は、強風アンド寒さの中でも表ではしゃいでいました。


「ん?トビー君見て!
あんな所に…」


「ケイちゃん?何してるんだろう」

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漢方医学で“風”は病気を発病させる要因の一つです。


(冷えや悪寒、落ちこみやすくなる等)



気候の変化が大きいと身体が対応出来ず、体調を崩しやすくなってしまいます。


とは言え人間はそんな“風”に負けてばかりはいません。


大きな風のチカラを利用し、ちゃっかり電力を作らせて貰っています。


そして子どもさんたちも風の子なので、ホントは寒いけれどお友だちと遊びたい気持ちが勝り“風”に負けること無く、お外ではしゃぎます。



「次なにしよっか?」


「ちんまり公園行く?」


「うん、ココアちゃんとか来てるかな?」


元気な子どもさんたちは、寒さと戦いながらも外でテケテケ走り回っていました。


「あれ?」


「ケイちゃん?!」


子どもさんたちは、仕事帰りのケイヒさんと遭遇しました。



今から行こうとしていた、ちんまり公園の方から現れたケイヒさん。



今さっき、見かけたばかりなのに何で?



「なんだよ二人とも。
ボンヤリしちゃって」


「ねぇ、ケイちゃん今さ…」






トビー君はさっき見かけた場所に、ケイヒさんが行っていたかどうか尋ねてみました。


「行ってねえよ?」


「うそぉ」


「あれ、ケイちゃんいつもの帽子は?」

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ケイヒさんの帽子は、先ほどの強風で飛ばされてしまったのだそうです。


「そうなの?」


「そういえば、ケイちゃんの帽子被ってた奴。

服装も違ってたかも」


「俺の帽子、誰かに拾われたって事?」


では子どもさんたちが見かけた人は、誰だったのでしょう…



「そいつまだ見かけた場所にいるかもしれないから、取り返してきてあげるよ」



「にゃんま~」


「む?」


3人でお喋りしていた所に、にこにこしながら現れたにゃこさん。


「あれ?にゃこそれ…」


にゃこさんはケイヒさんの帽子を、握りしめていました。

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「これお前のにゃろ?
にゃこさん知ってるにゃ」


「何だか分からんけど…
ありがとうにゃこ」


「にゃ!」


「にゃこ、この帽子どうしたの?」



「にゃ?
いつもよく眠ってる奴が持ってたにゃ。

にゃこさんと一緒にゃ。

ホントよく眠る奴なんにゃ」


「それ…ねこってこと?」



「えー!違うよ!」


「人だったよね?」


「何だ、何だ?

怖い話か?」



にゃこさんはトウキさんの事を、伝えているつもりです。


みんなが戸惑っている理由は分かっていないので、にこにこと見つめています。


帽子を届けてあげられて、にゃこさんはむしろ満足しています。



「村でよく眠っている奴?
ポ村に変質者でも紛れ込んだのか?」


にゃこさんの話を聞いて、3人はザワついています。



みんな成長すると都会に出てしまうので、ポ村には若い成人男性はあまりいないはずなのです。


どうやら3人とも、トウキさんのことを知らないようです。


トウキさんは村人と関わることがないので、彼の存在を知る人はとても少ない。



そんなザワついている時にふと、ケイヒさんは思い出した事がありました。




“寝苦しい夏の夜”



ポ村で見かけた見知らぬ若い男性。

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もしかして…


そんな思いが頭をよぎりましたが、ケイヒさんは子どもたちには何となく伝えずにいました。


しかしケイヒさんの予想通り。

夏の夜に見かけた人物と、今回の帽子を被っていた人物は同一の人間です。



トウキさんはおそらく、飛んできた帽子を被ってみただけなのでしょうが、それを子ども達に目撃され、変質者扱いされてしまうことになったようです。



まさかそんな扱いをされてしまうとは…



知らぬは本人ばかりです。



ホントはこれがキッカケになって知人になり、お互いの人間関係が広がれば…



トウキさんの画風にも影響があるかもしれません。



そしてトウキさんの持病である頭痛の原因も…


分かるかもしれないんですけどね。