前回のお話
まゆさん宅でお話し中のUSAさんとまゆさん。
最近USAさんは、ポ村の雰囲気につかり過ぎて、都会のある部分に怯えるようになったそうです。
彼女たちがお話し中ー。
「ただいまにゃー」
「あら、おかえり。にゃこちゃんはいつでも元気ね」
「そんなことないにゃ。セラピーキャットのお仕事帰りで疲れているのにゃ」
「今楽しそうだったよ」
「おうちに帰れてうれしいのにゃ」
ねこさんはご飯を食べられる、気持ちよく眠れる、楽しく遊ぶ、そんなことだけでたっくさんの幸せを感じることが出来るのです。
「まゆちゃん、お水ー」
「はいはい」
「亭主関白ねぇ」
「にゃむにゃむ、おいしいにゃわぁ」
「こら、こぼさないの」
「にゃこちゃんは、こぼしても自分で拭かず女に拭かせる男」
「にゃむ?」
「この間あたしね、小銭落としたのよ、駅前でさ。迷惑よね」
きっと大量のみかんを坂道で転がしても、ポ村のみんなは同様に拾ってくれると思う。
小銭音で人は思わず、振り返る場合がある。
でも小銭に反応したと思われたくない人は、聞き耳だけは立てているけれど、足が止まることはない。
”人は手を差し伸べない、それが都会のルールっていう偏見をいつの間にか持ってた”
「一部の人の都会に対する偏見には、同調しないようにって思ってたんだけど」
「それって…難しくない?」
「うん、けっこう難しい」
都会では、通勤中等に人が倒れてるのは珍しくもなく、声をかけずに放置するのは普通。
都会にはカゲ(ポ村の化け物)はいないけど、空気を読んで周囲を伺っている人々がいる。
そんな彼らを見ると、気味の悪い化け物と変わらなく見えることがある。
人が多い駅構内では怒鳴りあいの喧嘩をしていることがある。
それに対し、周囲の人は見向きもしない。
だからあたしも気にしないようにする。
いちいち関わっていられないし、関わらない方がいいとさえされている。
みんなも時間に追われ、人の多さにイライラして殺気立ってる。
むしろそっちの方が…あたしは恐ろしさを感じている。
続きます