まゆさんと遊んで欲しいにゃこさんは、先程からずっとおもちゃを持って、大人しく待っています。
待っていたのですが…
「何してんにゃ?」
まゆさんが何かしていると、そばで見ていたい病発症。
「なに?にゃこ。
いい子で待っててってば」
まゆさん、現在お掃除中。
にゃこさんのおトイレもお掃除します。
「にゃこときたら、忙しい時ほど遊んで貰いたがるんだから…」
そんなまゆさんの気持ちは、にゃこさんにはよく分からないようです。
「まゆちゃん…
なんで遊んでくれないんにゃ!」
「遊ぶのはあとで~」
「遊んでくれないのにゃらもういいにゃ。
まゆちゃんちの子やめるにゃ」
「あら、そうですか」
二人とも文句を言い合っています。
“まゆちゃんちの子やめる”
はにゃこさんの口癖です。
プンスカ文句を言っているにゃこさんですが、毎回その日のうちに忘れてしまう、そんな子です。
プンスカプープー!
文句を言い合うより感謝の言葉を口にしあった方が喜ばれるのに、人はどうして不満ばかりをぶつけ合ってしまうのでしょう。
にゃこさんは何でもかんでも、まゆさんにやって貰うのが当たり前。
いつもご飯をくれるまゆさんへの感謝の心など、なくなってしまっているようです。
世の中的に言っても感謝の言葉を言うよりも、文句を言う人の方が多い気がします。
毎日文句言っている人は珍しくないけれど、毎日感謝の心を欠かさない人は少ない…
「今日のおかず3品だけ?」
「夏なのにオレンジの掛け布団!?
暑苦しいからかえてよ!」
「疲れて帰って来てるんだから、風呂ぐらい沸かしといてくんない?」
「何でいつもと違うメーカーの水を買ってきてんの?
買い物も出来ないの?」
自分も人の文句を言う癖にそれを棚にあげ、文句ばかり言う人の文句を言う人もいます。
ブースカブー!!
にゃこさんはまだ、文句を言いながら歩いています。
「まゆちゃんにゃんて。
まゆちゃんにゃんて…」
ふとどこからか、声が聞こえてくる。
幼い子どもの声。
「にゃ?」
にゃこさんと同じように、ブースカと文句を言っているように聞こえます。
耳を澄ませば文句が聞こえてくる、そんな世の中です。
「ママのやつときたら“もうすぐ小学生になるんだから、お勉強のためにどりるやりなさい”ってい言うんだ」
「やな事いうね。
ママってやつはホントにうるさいものね。
“おもちゃ片付けなさい”とか、
“ご飯食べてから遊びなさい”とか、
口を開けばそんなことばっかり言ってるもの」
「そっかぁ。
トビーくんとペンネくんのママってやつは、そんなことばかり言うんだぁ」
「そーだよ、てんまちゃん。
それしか言わないんだ」
「にゃまっ。
子どもさんたちもブースカ言ってんにゃ!」
文句を言う人々の元に、文句ったれのにゃこさん合流。
「にゃこさんも“ブースカ”言ってたの?」
「そうにゃ、にゃこは決めたんにゃ。
にゃこと遊んでくれないまゆちゃんとはもう、遊んでやらないんにゃ」
「そうかぁ。
みんな色々大変だね」
「そうにゃ」
「そーだよ」
子どもさんだって、ねこさんだってストレスが溜まる世の中です。
ママの愚痴も止まりません。
「じゃあさ、たまには気分を変えて、感謝の言葉を言い合いっこするゲームしない?」
てんまさん、新ゲームの提案をしました。
「ゲーム?
良いねっゲーム!
楽しそう!!」
「にゃちっ」
「感謝の言葉…
でもそれってどんなのだっけ…」
次回へ続きます