マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

青年と猫

ポ村に住む画家のトウキさんは、昼間頭痛がひどくなることが多く、痛みが出ている日中は、身体を動かさず目を閉じていることが多いです。



そんな風に頭痛が発生した日は、夜に眠ることが出来なくなるため、そのまま起きてぼーっとしている。


 
今日も頭痛がひどかったため、ようやく痛みが治まったこの遅い時間、ぼんやりとポ村の星空を見上げています。

実はこれはいつものこと。


ついこの間も同じようなことがありました。

www.mamechu.com


トウキさんにとって、太陽の眩しい日中よりも、この時間の方が落ち着くようです。


ただ、静かすぎることがちょっと気になるところ。


夏や初秋はいろんな虫の気配や声がするので、生物が身近にいることを実感できます。


しかし虫が眠りに入る今の季節、村全体がだいぶ静かになってしまいます。



夏は多少鬱陶しく感じる虫の声ですが、聞こえなくなると不思議とせーせーするとまでは思わない。


静かすぎて世界が止まっていることに気づかず、過ごしているかもしれないなどと考える。



でも大丈夫。


星は動いています。


だから世界は止まっていないのです。






その頃…


本日の夜もひとりぼっちのねこ、どろちゃんは秋の夜の肌寒さにより目を覚ましてしまいました。


どろちゃんとは、ポ村でひとり自由に暮らすねこさんです。


空を見上げて思います。



夜はまだまだ始まったばかりなのだと。



でもねこさんは本来夜型です。



「起きちゃったから、仕方ないにゃ」



どろちゃんは散歩がてら、自分の大事な基地(お座布団)を抱えて、今よりほんの少しでも暖かそうな場所を求めて、夜のポ村を彷徨ってみることにしました。

ねこさんが暖まる場所。


「どこがいいきゃな?」



都会のねこさんは車の下、室外機付近、飲食店の近くなどで暖を取るそうですが、それらはポ村にはあまり存在しないので、森の方へ向かうことにしました。



「落ち葉にゃ。ふかふか落ち葉。ここ良さそうにゃ」



どろちゃんは落ち葉をかき集めて、モゾモゾと落ち葉の中に入っていきます。



「にゃふん、あったかいにゃあ」



安心してホコホコ暖まるねこさん。



しかしどろちゃんは、落ち葉の中にいる、自分以外の存在に気がつきました。



よく見るとと落ち葉の中には、先に暖まっていた虫さんたちが、寄り集まっていました。

「どろちゃん…お邪魔きゃな?」



どろちゃんは落ち葉の中から抜け出し、基地を運びながらトボトボとこの場を去っていきます。



どろちゃんはどうやって暖を取ったら良いのでしょう。



お友だちが多いねこさんは、お互いの体温で暖まったりするそうですが…



しかしどろちゃんの知り合いのねこさんは、にゃこさんくらい。


そしてそんなにゃこさんとは、犬猿の仲です。



だけどこんな寒い夜、やっぱりねこさんはぬくぬくしたい。

とってもぬくぬくしたい。


たまには仲良く。



ぬくぬく…


どろちゃんが一緒に寝ていたのは実はトウキさんなのですが、今は暖かければそれはそれで…



どうやらトウキさんはねこさんにとっての、ぬくぬくおこた代わりになりつつあるようです。