村長は“カゲや怪しい者”から村人を守るため、ポ村を定期的に見回っています。
それもお仕事の一つ。
毎日忙しそうです。
そして珍しく村長のそばを、うろちょろするUSAさん。
「村長、あたし村にカフェが出来たら良いなって思ってるんですけどね…」
何やら要望を伝えているみたいです。
一方、ねこのどろちゃん。
スヤスヤとお昼寝中。
のらねこさんの羨ましいところ…
それは自由で、誰にも縛られないところ。
目を覚ましたどろちゃんは、お散歩に出掛けるようです。
男の子のねこさんは、単独行動がお好み。
冒険して、探険して、色々と調べ事をして…
そういうのが楽しい。
行動範囲も女の子より、広めです。
でも動くとお腹が減る。
お魚獲りは、苦手です。
「にゃぶ?」
どろちゃん、ご飯が飛行しているのを発見!
ねこさんは、昆虫で遊んだり、食べたりするのが大好きです。
虫が気持ち悪いとか、何とか言うのは人間くらいなのです。
ただし、ゴキブリやらネズミやら蛙やらに関しては、寄生虫等に気を付けて欲しいものです。
そこにたまたま居合わせたにゃこさん。
「ここは、にゃこさんのとこにゃよ!
何しにしたんにゃよー!」
にゃこさんもねこなので、いっちょ前に縄張りがあるようです。
「にゃぶ?」
ご飯を追い掛けるのに夢中で、どろちゃんはついつい入り込んで来てしまったようです。
「にゃぶ?バッタにゃ!」
「にゃ?バッタ?」
どろちゃんは、昆虫の中では特にバッタが好き。
黒揚羽の事は忘れて、バッタを追い掛けて行きます。
ポテポテポテ…
「にゃぶっ!」
ようやく本日初めての、お食事にありつけました。
おいしいご飯が食べられる。
安心しても眠ることが出来る。
それだけでも幸せ。
それこそが幸せ。
ポツポツ…
「にゃぶ…雨にゃ」
雨が降りやすい季節。
どろちゃんは、基地を抱えて木の下へ。
濡れたら体が冷えてしまいます。
のらねこさんは自由ですが、その反面過酷でもあります。
ザーザー…
雨が強くなってきました。
「濡れちゃうにゃ…」
「どろちゃん?」
「にゃぶ」
「やっぱりどろちゃん。
ねぇ、見てこれ。
大きい傘、買ったの」
てんまさんがどろちゃんに、声をかけてきました。
「どろちゃんと、一緒に入ろうと思って買ったんだ」
てんまさんは、どろちゃんに傘を差し出します。
「隣いい?」
「にゃ」
のらねこさんの生活は過酷ではありますが、そればかりではありません。
今のところ雨は、ちゃんと止んでくれます。
お空も心も晴れていきます。
雨水だって飲めます。
“雨水を飲む”
それだけでどろちゃんは、とっても嬉しい。
「村長っ。
あたしお店の美味しいコーヒーが、ポ村でも飲みたいんですってば!」
「USAさんは、コーヒーがお好きなんですね」
「なかなか村の外に、出られないんですものー。
もっと人生を豊かにしたいんです」
さすがに雨水では、どろちゃんのように満足出来ないUSAさん。
USAさんが幸せを手に入れるのは、まだまだ先のようです。