マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

町の治安 その3

前回のお話
マンションのポストしか置いていない所で、ずっとスマホを見ている小さくて細身、そして長い髪の毛で顔を隠している男性。
なんだかちょっと気味が悪いので、スーパーによってその人がいなくなってから帰ることにしたのに、買い物が終わってからもまだいる。

彼はただスマホを見ながら立っているだけなのですが、部屋に戻らない理由が分からずちょっと怖い。
無料で使用できるWi-Fiがあるとかでもないと思うのですけれど…


ある日の、仕事帰り。

ポスト前の彼は、やはり同じ場所でジッと俯いてスマホを見ておりました。

本当はそこにあるポスト内を確認したかったのですが、なんとなくその場を早く立ち去りたかったので、階段を使って家に帰ろうとすると初めて彼が動き出しました。


そして、ポいもより先に階段を上がって行く。
その足はめちゃくちゃ牛歩で、段差があまりない階段をすごくすごく、ゆっくりと登っていく。


おそらく私が真後ろにいることくらいは気づいていると思うのですが、全然気にする様子もなく、一歩…また一歩と、時間をかけて階段を2階へ上がっていきます。

ゆっくりなのは体調が悪いとかではなく、スマホを見ながら歩いているからなのだと思います。

動け!

幅の狭い階段だから抜かせないし。

ようやく2階まで行ったポスト前の男は、2階のとある部屋の前で立ち止まりました。

”あれ?やっぱりこの人、このマンションの住人だったんだ”

私は少しほっとしながら、さらに上の階にある自分の部屋を目指してさくさくと通り過ぎようとしました。

ただその間、彼は部屋の前で固まっているだけで、入っていく様子は一向にありません。


”住民だったんだ”と思ったものの、部屋に入っていくところは結局見ることはありませんでした。

ひたすらドアの前に突っ立っている

”やっぱり違うのか?なんなんだ?”

その後も彼のことはポスト前で見かけ、スーパーによってから帰るということを繰り返していました。

一度そのまま彼はふらっとポスト前から出て来て、私と同じ近所のスーパーにやって来たことが…



”ここのスーパー(近所の人しか来なさそうな、小さな所)を利用するということはやっぱり、同じマンションの人かな”


くり返し思う”このマンションの人か否か”
それはちょっと確認したい事項。


やっぱりそこは気になる。


ポいもはポスト前の人のことを認識していますが、向こうはこちらを特に認識してなさそう。


ポスト前の彼は一人ですが、彼の前を通り過ぎるマンション住人も何人かいるでしょうから…


数日後、ポスト前の彼が、この間立ち止まっていた2階の自宅であろう部屋の前で再び立ち止まっていました。


”うん!やっぱりこのマンションの住人だったんだ。だとしたらどうして2階に住んでいるのに、いつも1階でスマホ見ているんだろう”


ポスト前の彼をそんなには見ないようにしながら、上の階を目指して歩いていたのですが、その間、なぜか彼は部屋の前で身動き一つしていないのだけは確認。



しかし鍵を開けようとする手が動くことはなく、手以外も全く動く様子がありませんでした。


(何しているの?どういう状態?早く扉を開けて入っていくところを見せてくれや)


そんな風に思っていたのですが、いつまでも見ているわけにはいかず、結局今回も入っていったかどうかの確認をすることはできませんでした。


今現在も彼の正体は謎。

なぜポスト前でスマホを見ているのか、そもそもマンションの住民なのか分からぬまま、ポいもは一人、ひっそりと暮らしております。

世の中、物語のように解決できないことが沢山あるのですね。