マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

軟膏調剤 その2

前回のお話
軟膏調剤が苦手なまゆさん。
あちこち軟膏を付けまくり、ベタベタにしています。
どうやらぶきっちょさんみたいです。


「今まで器用さを必要とする作業はどうしてたの?」

「そんなことは気にされなくて結構。ちゃんとできます。折り紙と、軟膏を詰めるのだけが苦手なだけです。あと、洋服作りとかが苦手です」


「洋服?」
「家庭科の授業の」


「で、ちゃんと作れたの?」

「大丈夫。中学校の時も高校の時も、なぜか代わりに作ってくれる人が周りにいてね。ありがたいことにね」


「まゆちゃんたら…甘やかされて育ったんだね。甘やかすってだめなんだね」

「その人たちのせいでまゆちゃんがこうなっちゃったんだから、あたしたちは厳しくいかないと」


「こうなっちゃったって何?失礼なこと言ってる?」
「あっ」

軟膏の罠
「あたし知らないわ」

「ちょっとぉ。軟膏壺飛ばさないでよ。今のわざとでしょ」

「あたしは何も知らないの。ってかさ!チューブあり過ぎじゃない?いつこの作業終わんの?」


「いい加減キレだしちゃった」

「仕方ないよ。処方箋には100gの指示があるんだもん」


「100!ステロイドもワセリンも最初から軟膏壺に入れてくれてれば、混ぜるときに取りやすいのにっ!」

「ねーなんで、こういう時に限って軟膏絞り器こわれてんのー」

「大人しくしようね。今、注文中だからね」


「あとさぁ。うちも”ねんこう練太郎”(軟膏の自動練りマシン・高額)買おうよー」

「まゆちゃん前にPTP除包器(薬剤をシートから取り出すマシン)も欲しがってたよね」


「だってさぁ。一包化する時に、PTPシートからたっくさんの薬取り出してたら、親指の爪にシートが挟まって血を出したこともあるんだもん」

一日に大量のPTPシートを扱うのはしんどい
「ううっ!もー、しんどー!”マメチュー先生たすけてー」

「まゆちゃん、べたべたした手であちこち触らないでってば」


「はいっ。皆さん、どうしました?」

「マメチュー先生!!」

対応が終わったマメチュー先生登場!高速軟膏ねりねり!
「すごっ!悟空がやっと来てくれた感がすごっ!」

結局マメチュー先生をはじめ、パゴロウさん、てんまさんのおかげで、患者さんをそれほど待たせず、お薬を準備することが出来ました。

「まゆちゃん、お礼にみんなにご飯おごって」
「う!」

「しょうがないよね、足ひぱっちゃったもんねー」
「とりあえずご飯はあたしの手料理でいい?」


「やば、まゆちゃんの?」
「和風ハンバーグ作ってあげるから。シソも乗せる。大根おろしも乗せちゃう」

「聞いてるとおいしそうだけど、漂う危険な雰囲気」


「てんぷらの方がいい?大根おろしつけるよ?」

「ハードル高め料理のてんぷら?やばそうというか、もう絶対まずそう。大根おろしでごまかそうとしないで」

「きみ今、はっきり言った?」


「ついでにベタベタにさせた所、きれいしといてよね」

「そもそもなんで、USAが一番偉そうなんだ!」

「マルズさんところのスイーツもつけてよ?」

まゆさんには早く軟膏の処方に慣れてもらわないと、この先も変なごちそうをされてしまいそうです。