前回のお話
軟膏調剤が苦手なまゆさん。
あちこち軟膏を付けまくり、ベタベタにしています。
どうやらぶきっちょさんみたいです。
「今まで器用さを必要とする作業はどうしてたの?」
「そんなことは気にされなくて結構。ちゃんとできます。折り紙と、軟膏を詰めるのだけが苦手なだけです。あと、洋服作りとかが苦手です」
「洋服?」
「家庭科の授業の」
「で、ちゃんと作れたの?」
「大丈夫。中学校の時も高校の時も、なぜか代わりに作ってくれる人が周りにいてね。ありがたいことにね」
「まゆちゃんたら…甘やかされて育ったんだね。甘やかすってだめなんだね」
「その人たちのせいでまゆちゃんがこうなっちゃったんだから、あたしたちは厳しくいかないと」
「こうなっちゃったって何?失礼なこと言ってる?」
「あっ」「あたし知らないわ」
「ちょっとぉ。軟膏壺飛ばさないでよ。今のわざとでしょ」
「あたしは何も知らないの。ってかさ!チューブあり過ぎじゃない?いつこの作業終わんの?」
「いい加減キレだしちゃった」
「仕方ないよ。処方箋には100gの指示があるんだもん」
「100!ステロイドもワセリンも最初から軟膏壺に入れてくれてれば、混ぜるときに取りやすいのにっ!」
「ねーなんで、こういう時に限って軟膏絞り器こわれてんのー」
「大人しくしようね。今、注文中だからね」
「あとさぁ。うちも”ねんこう練太郎”(軟膏の自動練りマシン・高額)買おうよー」
「まゆちゃん前にPTP除包器(薬剤をシートから取り出すマシン)も欲しがってたよね」
「だってさぁ。一包化する時に、PTPシートからたっくさんの薬取り出してたら、親指の爪にシートが挟まって血を出したこともあるんだもん」「ううっ!もー、しんどー!”マメチュー先生たすけてー」
「まゆちゃん、べたべたした手であちこち触らないでってば」
「はいっ。皆さん、どうしました?」
「マメチュー先生!!」
「すごっ!悟空がやっと来てくれた感がすごっ!」
結局マメチュー先生をはじめ、パゴロウさん、てんまさんのおかげで、患者さんをそれほど待たせず、お薬を準備することが出来ました。
「まゆちゃん、お礼にみんなにご飯おごって」
「う!」
「しょうがないよね、足ひぱっちゃったもんねー」
「とりあえずご飯はあたしの手料理でいい?」
「やば、まゆちゃんの?」
「和風ハンバーグ作ってあげるから。シソも乗せる。大根おろしも乗せちゃう」
「聞いてるとおいしそうだけど、漂う危険な雰囲気」
「てんぷらの方がいい?大根おろしつけるよ?」
「ハードル高め料理のてんぷら?やばそうというか、もう絶対まずそう。大根おろしでごまかそうとしないで」
「きみ今、はっきり言った?」
「ついでにベタベタにさせた所、きれいしといてよね」
「そもそもなんで、USAが一番偉そうなんだ!」
「マルズさんところのスイーツもつけてよ?」
まゆさんには早く軟膏の処方に慣れてもらわないと、この先も変なごちそうをされてしまいそうです。