「では、みなさん。申し訳ありませんが、今日はお店をお願いしますね」
そう言って、マメチュー先生は出かけて行きました。
薬剤師まゆさん、調剤事務USAさんはいつも通りですが、初めてマメチュー先生がいないお店を任された新人薬剤師のパゴロウさんは、張り切っています。
せっかくお店を任せてもらったのですから、ガッカリされたくないのでしょう。
しかし残念ながら意気込むほど、人は失敗をする生き物。
「大丈夫?」
「何してんの?」
「大丈夫です。ごめんなさい」
「パゴちゃん!?」
「すいませんっ!」
ひとり平静さを失っている様子のパゴロウさん。
そしてマメチュー先生がいない時ほど、お店が忙しくなってしまう。
「ごめん。パゴちゃん。トイレ掃除お願い。患者さん対応で手が離せなくて」
先ほど気分が悪くなってしまった患者さんがトイレで吐いてしまい、汚れた部分を掃除するよう頼まれたパゴロウさん。
「はい、やっておきます」
“ピッキングが終わったらトイレ掃除。絶対忘れない“
そう思っていたのに。
「すいませーん。おトイレって使えないんですか?」
「あ!!」
掃除するまで“清掃中“の看板をかけたままにしていたおトイレ。
パゴロウさんはあんなに“忘れないように“と自分の中で注意喚起をしていたのに、いつの間にかピッキングに集中してしまい、忘れてしまったようです。
そんなドタバタした午前中。
お昼休憩中にパゴロウさんは、小さくなって落ち込んでいました。
ミスの連続で、自分に嫌気がさしているようです。
「キャハハハハ」
一方USAさんは、のんきに女子トークしながら大爆笑。
「あたしさー。夏に冷凍食品を買ったのね。近くの食料品店だったから、保冷剤をもらわずに持って帰って冷凍庫に入れたの。んでしばらく経ってから冷凍庫を開けたら」
「開けたら?」
「もうさー、あたしったらバカみたい。夏だから少し溶けてたのよね。入れる前に冷凍食品の水滴、取っとかなきゃいけなかったのに、そのまま入れたから水滴が全部霜になっちゃって」
「まぁ、お前ならあるでしょ。普通に。常。」
「ちょっと、まゆちゃん。ひどくない?」
「だけどそんなに霜だらけだったんなら、冷蔵庫が古くなってる可能性もあるけど」
「そうなの?やだ。でさー。こないださー」
「自分の話すんの好きだな」
続きます。