マメチュー先生の薬局では、最近皮膚科の処方が増えてきました。ポ村から比較的近いところに、皮膚科の病院が出来たらしい。
いつもはマメチュー先生が、素早くチューブから薬を出して、皮膚科の処方箋によくある混合処方を作り上げてくれます。
外用塗布剤の混合処方は時間がかかるため、患者さんを待たせないよう素早く行う必要があるのです。
でも今は。
マメチュー先生は話が長い先生に、疑義照会(お薬に関する問合せ)をしています。
「あー、あの先生かぁ。まだ時間かかるだろうなぁ」
皮膚科のお薬づくりはまゆさん、てんまさん、パゴロウさんが急ピッチで進めます。
薬剤師のお仕事の中に軟膏を混合して、軟膏壺に詰めるという作業があります。
調剤事務のUSAさんは、関係ないことをしゃべりながら、その様子を見ているだけです。
「ところで、なんでわざわざチューブから出してるの?そのまま患者さんに渡すんじゃだめなの?」
「2種類の薬を混ぜるために、チューブから出さないといけないんだよ。それが混合処方」
大抵の場合、ステロイドにワセリンを混ぜることが多いです。ステロイドの効果はほぼそのまま。
2種類を混ぜることで、使うステロイドの総量を減らしたり、塗りやすくなったりします。
2種類の薬剤を混合しない場合でも、チューブから軟膏を絞り出すのが困難な患者さんのため等、チューブから取り出し軟膏壺に詰め替えることがあります。
「まゆちゃんちょっと、あちこち汚さないでくれる?」
【軟膏を詰めるときの注意】
空気が入らないように詰めましょう。
衛生的であることを心掛け、見た目もきれいにしましょう。
軟膏板と軟膏ヘラを使って、手際よく混合軟膏を作っているパゴロウさん。
几帳面でまじめなパゴロウさんは、とっても丁寧できれいに詰めています。
一人でせっせと行う作業は好きみたいです。
彼なら家事なども丁寧にやってくれそう。
「パゴロウすごいじゃん。薬剤師向いてるよね。いやぁ、大したもんだ」
「そ、そうですか?」
まゆさんはやたらとほめています。
「いい嫁…じゃないいい旦那になれるよ。嫁さん大層お喜びだよ」
「あ!もうなにここ、ベタベタしてる。まゆちゃん、汚さないでって!」
「汚してないわよ。あたしじゃないわよ」
「まゆちゃん、ぶきっちょ。この作業苦手だよね。そしてパゴちゃんに押し付けようとしてる」
「てんまちゃん。変な言いがかりはやめてくれないかしら?」
「ごまかす時さ、女言葉になるよね。この間みんなで患者さんのために折り鶴を作っていた時も、ぶきっちょさんだったね」
「まゆちゃんたら、鶴も折れないの?」
「うるさいわね!パゴロウ以外。彼を見習いなさい。手を動かしなさい。そうしなさい!」
「今まで器用さを必要とする作業はどうしてたの?」
続きます