「うわっ。何これ」
「まゆちゃん。どしたにゃ?」
「あ、うん。何でもない」
「にゃきゃ!?まゆちゃん、ウデッ。そのウデどしたのにゃっ」
まゆさんのめくれたスソから、ちらっと見えた腕。
「あぁ、いや」
「にゃって、にゃってそれ」
「にゃこ、何でもないよ」
「あああぁぁっ!まゆちゃんのウデがあぁぁぁっ!」
「泣かないよ、にゃこ。ね?大丈夫だから」
「にゃきゃああぁぁぁっ」
後日ー。
「きゃー、まゆちゃん腕っ」
「腕?」
まゆさん宅に遊びに来たてんまさんは、まゆさんの腕を見て驚いています。
「どうしたの?」
「これ?やけどしちゃってさ」
「いやぁっ。まゆちゃんの白い腕がっ」
「大袈裟」
「やだぁ。かわいそー。まゆちゃーんっ」
「にゃきゃあぁぁっ。まゆちゃんがあ」
てんまさんの声に反応して、にゃこさんも一緒に泣き出してしまいました。
「いやあぁぁ」
「にゃきゃああぁ」
「何なの?うざいんですけど」
「ところでまゆちゃん。どうしてやけどしちゃったの?」
「それがいまいち分からなくて」
「なんで?そんなことある?けっこう痛々しいよ」
「うーん。多分、スパゲティ作っている時だと思うんだけどさ。でも、やけどするようなことしてないんだよね」
「聞かせて。その時のこと」
先日ー。
スパゲティを食べようとしていたまゆさん。
「お肉ごろごろボロネーゼ」
「お肉にゃー」
「タバスコいっぱいかけよっ」
「かけるにゃー」
まゆさんは、鍋の横に置いておいたザルを使って、スパゲティを湯切りしようとしました。
一瞬。
ザルに腕が当たる。
“なんか腕がチクッとしたな。ザルがザラついてんのかな?“
で、そのあと湯切りを…
「ちょっと待って。まゆちゃん」
「何さ?」
「待って待って。さらっと変だよ。ザルがザラついてるって何?」
「え?…ザルってザラつかないか。そうだよね。なんでそんなこと思ったんだろ」
「それじゃない?やけどの原因」
「それ…?」
「ザルに腕が触れたから、やけどしたんじゃないのかな?」
「何でザル?…そっか、ザルか!」
まゆさんは改めて指摘され、やけどの原因に気がついた様子です。
“ザルがザラついている“
お料理に夢中になっていたせいか、とっさにわけの分からないことを思ってしまったらしいまゆさん。
「うん。だってザルをお鍋の横に置いておいたんでしょう?」
「そうだった」
“ちくっ“としたのは、熱くなったザルに触れたせいなのだと思われます。
“ザルが熱いわけない“そんな思い込みもあったのでしょう。
「状況を考えたらそうだよね。確かに、うん」
続きます。