マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

やけど その1

「うわっ。何これ」

まゆさん宅

「まゆちゃん。どしたにゃ?」

「あ、うん。何でもない」
「にゃきゃ!?まゆちゃん、ウデッ。そのウデどしたのにゃっ」

まゆさんのめくれたスソから、ちらっと見えた腕。

「あぁ、いや」

「にゃって、にゃってそれ」
「にゃこ、何でもないよ」

「あああぁぁっ!まゆちゃんのウデがあぁぁぁっ!」
「泣かないよ、にゃこ。ね?大丈夫だから」

「にゃきゃああぁぁぁっ」

後日ー。



「きゃー、まゆちゃん腕っ」
「腕?」


まゆさん宅に遊びに来たてんまさんは、まゆさんの腕を見て驚いています。

「どうしたの?」
「これ?やけどしちゃってさ」

「いやぁっ。まゆちゃんの白い腕がっ」
「大袈裟」

「やだぁ。かわいそー。まゆちゃーんっ」
「にゃきゃあぁぁっ。まゆちゃんがあ」


てんまさんの声に反応して、にゃこさんも一緒に泣き出してしまいました。


「いやあぁぁ」
「にゃきゃああぁ」


「何なの?うざいんですけど」

「ところでまゆちゃん。どうしてやけどしちゃったの?」
「それがいまいち分からなくて」


「なんで?そんなことある?けっこう痛々しいよ」
「うーん。多分、スパゲティ作っている時だと思うんだけどさ。でも、やけどするようなことしてないんだよね」
「聞かせて。その時のこと」


先日ー。
スパゲティを食べようとしていたまゆさん。


「お肉ごろごろボロネーゼ」
「お肉にゃー」
「タバスコいっぱいかけよっ」
「かけるにゃー」

スパゲッティ茹でるよ

まゆさんは、鍋の横に置いておいたザルを使って、スパゲティを湯切りしようとしました。


一瞬。
ザルに腕が当たる。

ん?

“なんか腕がチクッとしたな。ザルがザラついてんのかな?“
で、そのあと湯切りを…


「ちょっと待って。まゆちゃん」


「何さ?」
「待って待って。さらっと変だよ。ザルがザラついてるって何?」


「え?…ザルってザラつかないか。そうだよね。なんでそんなこと思ったんだろ」
「それじゃない?やけどの原因」


「それ…?」
「ザルに腕が触れたから、やけどしたんじゃないのかな?」

「何でザル?…そっか、ザルか!」


まゆさんは改めて指摘され、やけどの原因に気がついた様子です。

“ザルがザラついている“

お料理に夢中になっていたせいか、とっさにわけの分からないことを思ってしまったらしいまゆさん。



「うん。だってザルをお鍋の横に置いておいたんでしょう?」

「そうだった」

“ちくっ“としたのは、熱くなったザルに触れたせいなのだと思われます。

“ザルが熱いわけない“そんな思い込みもあったのでしょう。

「状況を考えたらそうだよね。確かに、うん」


続きます。