前回のお話
人間の心に巣食う“悪の心“を餌にしている鬼。
しかしそれだけでは満腹にならない鬼は、節分の日に豆を食べて、一年分の栄養を摂取しています。
そんな鬼はポ村にも現れたのですが、去年の記憶があまりいいものではなかったせいか、こっそりと引き返そうとしていました。
ところがあっさり、てんまさんに見つかってしまいます。
捕まった鬼はその後、まゆさんに連行されてしまいました。
「来るのが遅いぞ鬼。疲れてんのか?」
また、まゆさんにお仕事をやらされるのでしょうか?
しかし、鬼はなぜだかそのまま、足湯に入れられてしまう。
「フォ?」
それは“じゃばら風呂“というものでした。
“じゃばら“とは和歌山県でとれる、小さなおみかんです。
邪気を払うため、節分の日に入ったりするという。
“邪“は鬼本人ではないかと思うのですが…
「足湯、気持ちいいでしょう?今年のお豆はね、趣向を凝らした豆料理にしたんだよ」
「まゆさーん、てんまさーん!お手伝いお願いします」
「はーい」
マメチュー先生に呼ばれた二人。
「おい鬼。悪いけど、にゃこ見ててくんない?」
「フォ?」
鬼はいつの間にか眠ってしまっていたにゃこさんを、抱っこさせられていました。
「マメチュー先生、お豆腐も入れよう」
「豆腐は嫌いだってば」
「美味しいのに。揚げ出し豆腐もダメ?ごま油で炒めた、刻みネギたっぷりの」
節分で年の数だけ食べるという、例の炒った大豆が苦手なまゆさん。
てんまさんは栄養価の高い大豆をまゆさんにも食べさせたくて、今年の節分は大豆カレーとデザートにきな粉餅を準備。
まゆさんは子ども舌なのです。
「まゆちゃん、カレーは好きだもんね。お揚げを焼いたのもあるけど食べる?」
「いらない」
「生姜醤油で食べたら美味しいのに…」
お豆はもちろん鬼のため。
いつもガリガリ体型でポ村にやってくるので、心配されているのです。
体力がなければお手伝いも出来ません。
プラス豆料理は、好き嫌いが多いまゆさんのためでもあるみたい。
「まゆちゃんおいしい?」
「カレーはね。鬼はちゃんと食べてるか?」
「フォ」
やはり鬼は、お腹が減っていたのか、出された大豆カレーときな粉餅、お揚げを美味しそうに平らげます。
そして足湯で十分疲れも取れ、体力UP。
「豆乳いる?飲めるかな?」
今年はしっかりお豆を食べた鬼。
これで今日一日、しっかりと様々なご家庭を回れそうです。
そしてその前に、お手伝いもできそうです。