前回のお話
土曜日の午後
マメチュー先生の調剤薬局にやってきたトビーくんとペンネくん。
パゴロウさんは風邪気味のペンネくんに渡す、風邪薬であるシロップの準備をしていました。
パゴロウさんは過量服用にならないよう、きっちりしっかりはかってからシロップをボトルに入れていました。
患者さんの体重等から、お薬の量を確認。
水剤を計量するメートグラスで、量をはかってからボトルに注いでいきます。
「マメチュー先生がね、言ってたんだ。パゴせんせいがきっちりシロップの量をはかって丁寧に準備してくれてるんだよって」
「きっちりはかる?」
「大事ことなんだって」
「木じじいにあげるお水もきっちりはかる」
「はかる!」
植物にあげるお水の量も、もちろん大切。
あげすぎたら根腐れして、枯れてしまうことがあります。
「あ、でも僕のママ。お腹のサイズはかってたのにスカート入らなかったんだよね?」
「もうちょっとペンネ。何を言っているの?」
ペンネママお顔を真っ赤にしています。
ウエストのサイズ、必要以上にきっちりはかりすぎると、失敗してしまうみたいです。
「だめだよ、ペンネママ。ちゃんとお腹はからないと」
「そ、そうよね」
そこへマメチュー先生の助手であるクラゲさんが、皆さんにホットハニーミルクを持ってきてくれました。
「いつものやつ。僕これ好きー」
「いただきまぁす」
クラゲさん特製、ほかほかホットハニーミルク。
ほんのりと甘くって子どもさんたちに大人気です。
「おいしい〜」
「あれ?おいしいけど。いつもとちょっと味違うね」
舌が敏感なトビーくん。
作り慣れているクラゲさんは、いつもの蜂蜜の分量と変えて作ってしまったみたいです。
やはりなんでもきっちりはかるのは大事なようです。
主婦であるペンネママは「いやいや」というお顔をしていますが…
確かにおうちでは、各ご家庭、それぞれのやり方でいいのです。
おうちの中でも“なんでもきっちり“では疲れてしまいますからね。
「ペンネくん、ペンネママ。お待たせしました」
パゴロウさんによるお薬の準備が整ったようです。
「使用する時は、よくふり混ぜてから一回分量をお取りください。そして誤差が生じないよう、よく見てはかってからお取りくださいね」
「はい」
“なんでもきっちり“は疲れてしまうと思いますが、お薬の分量はお子様の健康のためにもきっちりはかってもらいたい。
パゴロウさんのそんな思いがペンネママに伝えられます。
「ふふふ、パゴせんせいに任せていたら安心だね」
子どもさんたちにとってパゴロウさんは、身近にいるお兄さんのようで頼りになるみたいです。
「えぇ?そんな!せんせいだなんて。とんでもない」
「世界一丁寧にシロップをはかってくれるせんせい!だから安心」
「世界一シロップを丁寧にはかるせんせい!?妙な異名だね」
でも悪い気はしません。
彼はこれからもきっちりしっかり正確にはかる派を貫いていくことでしょう。