ボクが子どもの頃。
「あら、パゴちゃん大丈夫?
またお熱出てるわね」
朝から熱を出しては、母親に迷惑をかけていた。
そういえば、マメチュー先生の所での初出勤の日も、熱を出していたっけ?
パゴロウさんは緊張や不安を感じると、熱を出していましたが、今は熱を出すことが無くなってきているみたいです。
なんでだろう…
今日もいつものように、朝一でシフォンの無事を確認。
「シフォン、おはよう」
「に」
「点呼を取ります。いち」
「に」
「よくできました」
シフォンが癒してくれているおかげで、元気になったのかもしれない。
強くなったのかもしれない。
現在…
パゴロウさんの部屋には、シフォンが欲しがっていたキッチングッズや、掃除グッズが揃いつつあるみたいです。
集め始めると、あれもこれもと気になってしまい、止まらなくなってしまったパゴロウさん。
でもそのおかげで、包丁とか危険なものを触ろうとすることがなくなりました。
「可愛いなぁ」
シフォンは買い与えたグッズを、楽しげに触っています。
「お料理のまねごとをするのが、好きなんだ?」
「ふ」
“料理“というものがよく分かっていないシフォンですが、おもちゃの包丁やスプーンなどを触っている時が、一番嬉しそうです。
一方のパゴロウさんは犬や猫みたいに、ボール遊びをシフォンにはして欲しいと思っていました。
「へへ、ボール買っちゃった」
まずは人の真似をしたがるシフォンに遊び方を教えるため、パゴロウさん自身がボール遊びをしてみせます。
「ま?」
パゴロウさんのボールに、視線を送るシフォン。
(見てる見てる)
「ま!」
「なに?シフォンもやる?」
「う」
「じゃあ、ちょっと見ていて。
これはね、こうやって転がして遊ぶんだよ」
「た!」
パゴロウさんはシフォンと、ボールをコロコロ転がして遊びます。
「に」
シフォンは夢中になって、ボールを追い掛けています。
「に、に!」
ふふ、やっぱり可愛い。
とはいえ…
シフォングッズを集めるのは、結構お金がかかります。
ふわ毛用の櫛も欲しいんだけどなぁ。
歯ブラシも欲しい。
でもそんなのなかなか売っていないし、きっと高いよなぁ。
そんな風に悩んでいたら、シフォンが寄ってきました。
「て」
ふと我に返るパゴロウさん。
なんか…
気が付くと家中、お人形さんグッズだらけになっていました。
「よく考えたら、お人形さんグッズを買い集めるなんて恥ずかしいよね」
大の男が。
パゴロウさんは気になって、そんな話を仕事の休憩時間にマメチュー先生に話してみました。
「気にすることないですよ。
年齢も性別も関係ないです。
いいじゃないですか。
シフォンさんのためなんだから」
マメチュー先生は、そんなふうに言ってくださいました。
さらにはなんと、シフォン用の手作りのお洋服もプレゼントしてくれました。
「ポ村のお隣のねこ森町にゆかりがある、にゃんこぷさんという方と作ったのですけれど」
「顔広いんですね。可愛い。なんでも出来ちゃうなんてすごいなぁ」
「パゴロウさんがシフォンさんとの暮らしを楽しんでいて、本当に良かったです」
「はい、とっても楽しいです」
パゴロウさんは早速、シフォンにお洋服をプレゼント。
「な?」
「マメチュー先生が作ってくれたんだよ。
洋服っていうんだ」
うん、可愛い可愛い。
こうなってくるとお洋服をしまう、衣装ケースみたいなものも欲しいかも。
洋服の種類も色々あった方がいいよね。
汚しちゃうかもしれないし。
とはいえ、またネットで買い漁ったらお金がかかる。
マメチュー先生みたいに、自分で作る…か。
「うわぁ、難しそう」
でも今度は、手芸に興味が出てきてしまった様子のパゴロウさん。
今度、本格的にマメチュー先生から、教わろうかな?
シフォンおかげで、パゴロウさんの趣味が増えました。