前回のお話
今年はどんなクリスマスケーキにしようか考えていた、パティシエ見習いのりーちゃん。
考えた末、イチゴのデコレーションケーキを作ることにしました。
しかし馴染みの青果店では、肝心のイチゴが売り切れ。
そこへ行商の人が”酸っぱくて人気ない”というイチゴを売りに来ました。
確かに酸味はしっかりあるけれど。
「うん、これおいしいよ。ですよね。マルズさん」
「そうですね。甘いケーキにはすっごく相性が良いと思います。いや、いいですよ。このイチゴ」
酸っぱいというイチゴですが、りーちゃんたちのケーキにはぴったりのお味。
「やった。このイチゴ下さい!」
「買ってくれるのかい?ありがとう」
行商の方は”こんなにいらないよっ”ていうくらい、りーちゃんたちにイチゴをサービスしてくれました。
「ようし!あとはもう、美味しく作るだけだっ!」
パティシエ見習いさんとして、はりきるりーちゃん。
イチゴ以外の材料は、すでに準備が整っています。
秋にポ村にやって来たミルク業者さんの、美味しいとれたてのミルクのような生クリーム。
そしてポ村民、クスドリさんの素晴らしい卵で作ったふっかふかに膨らんだ、スポンジ。
そんな生クリームによく合う、甘酸っぱいイチゴがいいアクセントとしてイチゴのケーキを彩ります。
今日のぼた雪のように白く、雲のようにふわふわのケーキ。そこに映える赤いイチゴ。
”できた!最高のケーキ!”
作ったのはほとんどマルズさんで、リーちゃんはもっぱら雑用に近いお手伝いですが、それでも大満足。
「いっぱい買ってくれるといいなぁ」
クリスマス直前に作ったので予約販売はせず、直接来てくれたお客さんにのみ店頭販売することにしました。
クリスマス当日
なんと、りーちゃんケーキに注文殺到。
どうやら”安くておいしい豪華なクリスマスケーキ”として口コミやSNSで、午前中から一気に伝わったらしい。
「えー、嬉しい」
”けど間に合わないくらい注文きちゃった。どうしよう”
マルズさんは急いで、ケーキをこしらえます。
でもケーキが出来上がるまで、お客さんにお店で待っててもらえない。
急遽、お店に注文をしに来てくれた人には、出来上がり次第配達することに。
とはいえりーちゃんとどんぐりさんだけでは。。。
「無理!みんなに手伝ってもらおう!」
みなさんのおかげで、なんとか閉店までにすべての注文に対応できました。
「今日はありがとうございました。みなさん、お疲れさまでした」
行商の方がサービスしてくれたイチゴを使って、今宵はみんなでクリスマスにイチゴケーキパーティー!
”ふふ、みんなのいい思い出になったかな?”
”いい”はないとは思いますが、思い出にはなったと思います。