秋、風景が赤茶色っぽくなってくる季節。
今日は、ちょっと一枚多く羽織りたくなるような陽気です。
そんな中、朝から張り切ってスイーツ作りの準備をするりーちゃん。
自分で掘ったさつまいもを、綺麗に洗っています。
「おいも、そろそろおいしくなったかな?」
ケイヒさんにもらったカボチャと、一緒に掘ったさつまいもを使って、今日はマルズさんとパンプキンケーキ作りです。
カボチャとさつまいもは、潰してお砂糖とバターを入れ、マルズさんがペーストにしています。
室内は一気に美味しい香りに包まれました。
「これだけで美味しそう」
でも見た目も大切なスイーツは、ペーストだけを販売するわけにはいきません。
りーちゃんたちはケーキを可愛くデコレーションするために、マジパンを作ることにしました。
アーモンドプードルにお砂糖と卵白を入れたマジパンの素は、マルズさんがすでに作っておいてくれています。
その生地に食用色素を混ぜて、たくさんの色をつけていく。
「どんぐりさん、どんなマジパン作る?」
「ハロウィンだからお化けとか?」
「いいね。そうしよう」
簡単そうなものを、作ってみたけれど。
“ちょっとこわ…”
ちょっとマジパン作りに失敗した感が漂っているりーちゃんたちを包むように、心が満たされるような甘い香りがより増してきました。
「こんな風に、心が温かくなるような甘いスイーツ…」
現在、すでにパティスリーマルズには、ハロウィン用のデコレーションケーキの予約が入っています。
そのお客様のほとんどは、女性や子どもさんたち。
マジパン作りに失敗したので、気分を変えるため、りーちゃんはマルズさんのスイーツ作りを邪魔しないように観察。
マルズさんのスイーツ作りを見ていると、なぜだか毎回、優しい気持ちになります。
「そうだ。女の人や子どもたちが喜ぶような、可愛く愉快なモンスターにしよう」
「ねぇりーちゃん、カボチャのおばけなんかどう?」
「あー!僕も今それ言おうと思ってた」
可愛いお化けのイメージが、浮かんできた様子の二人。
まだまだスイーツ作りは修行中の二人ですが、お客さんを思って作るということは、少し学べたみたいです。