前回のお話
外出中のマメチュー先生に、お店を任されたパゴロウさんたち。
先生の留守を預かるため、張り切っていたパゴロウさんですが、ミスの連発。
落ち込んでいたところ、USAさんが自分の失敗話を爆笑しながら話だしました。
「でね、でね。昨日、雨降ってたじゃない?傘さしているとさ、いっつも傘が枝に引っかかってさ」

「傘が突然飛んでっちゃうから、あたし毎回びっくりしちゃうの。傘にジェットエンジンが搭載されてんのかなって思うくらい、遠くに飛んでっちゃうんだもん。あたしの傘」

「でもあたしの後ろに人いなくてよかった。これ、笑い事じゃないよね。飛んでった傘が人に当たったら危ないものね」
「分かってんなら、気ぃつけなよ」
落ち込んでいたパゴロウさんは、そんなUSAさんを見て感心していました。
“失敗を笑いに変えてる。器の大きさを感じるなぁ“
「ボクはだめです。ミスなんてしたら、一日中落ち込んでしまいます。ボクって単純にプライド高いのかな?成長もせずに失敗ばかり」
「成長してない…そんなことないでしょ。あんた、ここに来てから全く成長してないと思ってんの?」
「え?」
「身長、伸びてない?1センチくらい」

「なんですかそれ。伸びてません。成長期終わってます!」
「だけどさ、人は嫌でも変わるんだよ。知らぬ間に大きくなる。変わらない人間なんていないよ。人は顔も変わるし、体型も髪の長さも、性格も、そして能力も徐々に変わる」
「そりゃそうでしょ。そんなリアクションするほど、特別なことじゃない」
「そうよ。チリもツモれば山となるのよ」
「何、急に。変なことわざ」
「あれ?違った?じゃあ失敗は成功のもと?いや、花より団子かな」
「は?」
「分かった。花も団子もだ。この年になるとさ、どっちも欲しいよね」
「静かにしてくれる?USA、またミスしまくってるじゃん。“医療従事者、ミス駄目、絶対!“」
「ちょっと!真顔で諌めるのやめてくれる?」

「あー、先生だー。おかえりなさーい」
「お、お帰りなさい。マメチュー先生」
「ただいまです。パゴロウさん」
“ボクの顔を見てニコニコしているマメチュー先生。
きっと先生は…
安心してお店を任せてくれたんだろう。
今更ながら改めて気づいた。
まだ新人で、職場の仲間にも新人扱いされていると思っていた。
人は嫌でも変わるんだよ。特別なことじゃない。
人は変わっていくし、変わらなきゃいけない。
そう思うと、プレッシャーのような、変化していることへの喜びを感じるような…“
「さっパゴちゃん。まだ仕事あるよっ」
「はっはい」
”信じてくれている先生の期待に応えるためにも、ボクももう少し自分を信じよう。
先生の顔を見ていたら、そんな風に思えた“
「USAさん、実はボクもあるんですよ。傘飛ばしちゃったこと」

「やだ、言ってよー」
”そして、ちょっとした失敗くらいなら笑って話せるくらい、余裕のある人間になろう“