マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

仕事でのミス その2

前回のお話

外出中のマメチュー先生に、お店を任されたパゴロウさんたち。

先生の留守を預かるため、張り切っていたパゴロウさんですが、ミスの連発。

落ち込んでいたところ、USAさんが自分の失敗話を爆笑しながら話だしました。



「でね、でね。昨日、雨降ってたじゃない?傘さしているとさ、いっつも傘が枝に引っかかってさ」


飛ぶぞ

「傘が突然飛んでっちゃうから、あたし毎回びっくりしちゃうの。傘にジェットエンジンが搭載されてんのかなって思うくらい、遠くに飛んでっちゃうんだもん。あたしの傘」

ほんとに飛んだわ

「でもあたしの後ろに人いなくてよかった。これ、笑い事じゃないよね。飛んでった傘が人に当たったら危ないものね」


「分かってんなら、気ぃつけなよ」


落ち込んでいたパゴロウさんは、そんなUSAさんを見て感心していました。


“失敗を笑いに変えてる。器の大きさを感じるなぁ“


「ボクはだめです。ミスなんてしたら、一日中落ち込んでしまいます。ボクって単純にプライド高いのかな?成長もせずに失敗ばかり」


「成長してない…そんなことないでしょ。あんた、ここに来てから全く成長してないと思ってんの?」

「え?」


「身長、伸びてない?1センチくらい」

ちょぴ

「なんですかそれ。伸びてません。成長期終わってます!」


「だけどさ、人は嫌でも変わるんだよ。知らぬ間に大きくなる。変わらない人間なんていないよ。人は顔も変わるし、体型も髪の長さも、性格も、そして能力も徐々に変わる」

「そりゃそうでしょ。そんなリアクションするほど、特別なことじゃない」


「そうよ。チリもツモれば山となるのよ」


「何、急に。変なことわざ」


「あれ?違った?じゃあ失敗は成功のもと?いや、花より団子かな」


「は?」


「分かった。花も団子もだ。この年になるとさ、どっちも欲しいよね」


「静かにしてくれる?USA、またミスしまくってるじゃん。“医療従事者、ミス駄目、絶対!“」


「ちょっと!真顔で諌めるのやめてくれる?」


薬局外観

「あー、先生だー。おかえりなさーい」

「お、お帰りなさい。マメチュー先生」

「ただいまです。パゴロウさん」


“ボクの顔を見てニコニコしているマメチュー先生。

きっと先生は…

安心してお店を任せてくれたんだろう。

今更ながら改めて気づいた。

まだ新人で、職場の仲間にも新人扱いされていると思っていた。

人は嫌でも変わるんだよ。特別なことじゃない。

人は変わっていくし、変わらなきゃいけない。

そう思うと、プレッシャーのような、変化していることへの喜びを感じるような…“


「さっパゴちゃん。まだ仕事あるよっ」


「はっはい」


”信じてくれている先生の期待に応えるためにも、ボクももう少し自分を信じよう。


先生の顔を見ていたら、そんな風に思えた“


「USAさん、実はボクもあるんですよ。傘飛ばしちゃったこと」

飛ぶぞ

「やだ、言ってよー」


”そして、ちょっとした失敗くらいなら笑って話せるくらい、余裕のある人間になろう“